世界はキラキラおもちゃ箱・2

わたしはてんこ。少々自閉傾向のある詩人です。わたしの仕事は、神様が世界中に隠した、キラキラおもちゃを探すこと。

田園

2007-08-14 00:45:42 | 詩集・貝の琴

貝を背負った 白いねずみが
天と地のちょうつがいに
油をさしにゆく
世界のきしむ音が
耳について眠れないから

田園を掃く風を車にして
かけていくかけていく
燃えるチョウチョウの翅を透く
光から油はしぼりとった
星々の積む沈黙の夢から
器はきりだした

主のない家が黒々と
田園をくいつぶしてゆく
あふれてくる虚無のためいきに
空気がさびついてゆく

いまこそわたしがゆかねば
いまこそわたしがゆかねば

真空の仮面をかむった
愚かな道化が
世界をたたんでしまう前に
すべての絶望をうちこわして
天地の隙間に両手をつっこみ
それまでいなかった
金の嬰児をこの世にかき出だす

いまこそわたしがやらねば

コメント (2)    この記事についてブログを書く
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2 コメント

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Unknown (塩豆)
2007-08-14 22:39:32
この詩、すごいです!
ほんと、すばらしいと思います。
言葉にうまく表現できないけど、てんこサンすごい。
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Unknown (てんこ)
2007-08-15 15:32:48
塩豆さん、ありがとうございます。
これはわたしも、とても気に入っています。
やっぱりわたしは、詩人の自分がいちばんすきですね。
返信する

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