
ヤコポ・バッサーノ
イエスは、自ら十字架を背負い、いわゆる「されこうべの場所」すなわちヘブライ語でゴルゴタというところへ向かわれた。そこで、彼らはイエスを十字架につけた。
「ヨハネによる福音書」
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いわゆるゴルゴタへの道のりの神話は、福音書記者の創作です。史実では、イエスは十字架につけられた時にはもう死んでいました。弟子たちを含めた大勢の人間たちによって、殴る蹴るの暴行を受け、死んでしまったのです。人間たちの憎悪には深いものがあった。イエスが何にも悪いことをしないからです。汚いことを一切せずに、いいことばかりするからです。それだけで彼らは激しく嫉妬と憎悪に燃え、暴力に溺れて殺したのです。ですから、ゴルゴタへの道のりの途中で、イエスの顔をふいた聖ヴェロニカの神話なども創作です。福音書記者は、イエスの生前、少しでも彼に愛を示した人間が欲しかったのでしょう。それでなければ、人間が苦しすぎたのでしょう。