
夢の中で、アシメックは冬の星を見上げていた。あれはカシワナカの星だ。
まだ宵の口だというのに空は漆黒に近く、星はまるで月のように大きく見えた。
まだ冬の最中だが、春はそう遠くない。アシメックは星を見上げながらそう思った。春がくれば鹿を狩ろう。みなが喜ぶだろう。
そう思いながら、アシメックは何かを感じて後ろを振り向いた。
するとそこに、山のように大きな青い鹿がいた。
おまえはだれだ、と鹿は言った。
アシメックは自然に笑い、アシメックだ、と答えた。
鹿は顔をそびやかせ、不満のありそうな顔をした。そしてまた言った。
おまえは、仲間を守ったのか。
今度はアシメックが不思議そうな顔をした。こいつはだれだろう。どこかで見たような気がするが。