ロヴィス・コリント
聖アントニウスは三世紀のエジプトに生まれた。キリスト教徒として教育を受け、財産を貧者に施し、自らは苦行の日々に身を投じた。悪魔が彼の信仰を破壊しようと様々に挑んできた。悪魔はなまめかしい女性たちに化けて執拗に彼を誘惑する。彼はそれらの誘惑に耐えて、信仰生活を全うしたという。
*
苦行というのはやりすぎるのはよくありませんが、自分の淫らな欲を抑制するという訓練においては、実利があることがあります。人間は、我慢をすることができなければ、美しくなることはできません。性欲に耐えると言う訓練は、特に男性には必要なことでしょう。苦行とは激しい自己否定の経験だ。人間は一時期それに酔うかのように励んだことがある。自分というものがとても苦しかったからです。その自分を激しく抑制し苦しめることによって、清らかなものとなりたいという夢を見たことがあった。必要以上に自分を苦しめることはよくないが、ある程度の効果があることは認めてよいでしょう。