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グイド・レーニ
アルカディアの王イアソスの娘アタランテーは男勝りで活発な女性だった。父が言っても男に従うのが嫌でなかなか結婚したがらなかった。しかしあまりに父がすすめるので、ある日、自分と走り比べをして勝った男となら結婚すると言った。しかし負けたものは殺すと。多くの挑戦者がいたが、ことごとくアタランテーに勝てなかった。そこでメラニオンという男がアフロディテに祈ったところ、アフロディテは彼に三つの金のりんごをわたした。メラニオンはそれをもってアタランテーに挑んだ。競争の途中、メラニオンがりんごを落とすと、それが欲しくなったアタランテーは林檎を拾い、その分競争から遅れた。それを三度繰り返し、メラニオンはとうとうアタランテーに勝った。
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男勝りの女性というのはいますが、普通このようにはなりません。男のようにきついことをする女性というのは、実に男に近い姿をしています。男好きのするような女性には、めったになりません。アタランテーに求婚者が殺到したということは、おそらくすばらしい徳を持っていたからでしょう。美しさよりも、彼女が持っていた何らかの魅力に男性は引かれたのではないか。まあ要するに、美しさだけではこれほど男性を引き寄せることはできないということです。