世界はキラキラおもちゃ箱・2

わたしはてんこ。少々自閉傾向のある詩人です。わたしの仕事は、神様が世界中に隠した、キラキラおもちゃを探すこと。

若き日のサムソン

2014-04-24 06:14:42 | 虹のコレクション・本館
No,128
レオン・ボナ、「若き日のサムソン」、19世紀フランス、アカデミック。

秀逸な美しい男性像を探したのだが、なかなか見つからない。ヘラクレスの絵なんぞも探したんだがね、男はヘラクレスを描く時は、何とももっさりと描く。もっと男前に描いてもらいたいものだが。

獅子退治の仕事などは、ヘラクレスもやっているが、ヘブライの英雄であるサムソンもやっている。若いが、なかなかやるね。小手調べという感じで描いてあるが、これがなかなか難しい。

獅子というのは、男が向かう敵の象徴のようなものだ。強い。デカい。美しい。しかも威厳がある。王者のようだ。

若いガキが、男に目覚めて、最初に敵視するのが、こういうものだ。

もちろん、こんなものに正面から立ち向かえる男など、めったにいない。だからたいていの男は、いろいろな知恵を使って、獅子をやっつけようとする。

一番最初に思いつくのは、もちろん、大勢でやっつけることだ。こういうやつはいっぱいいるよ。

だが、ときに、自分一人でやろうとするものが出る。これが、すごいやつさ。

ヘラクレスも、サムソンも、それをやったやつだ。だから神話に残る。

大勢でなら、マンモスだって倒せる。だが、一人の、自分だけの力で、獅子を倒す。これほど、男の血を熱くするものはない。おれがおれだという、激しく痛い存在証明だ。

一度は、獅子に、ひとりで挑戦してみたまえ。これくらいやれねば、男ではないぞ。



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