ヤコポ・バッサーノ
神は地上の人間の堕落を見てこれを滅ぼそうと思われた。そこで正しい人ノアに語り掛け、箱舟を作らせた。ノアは人々に嘲笑されながらも神に従い、箱舟を建設し、そこに家族とあらゆる動物たちのつがいを招き入れた。やがて洪水がおき、それは40日の間続いて、地上の人々を滅ぼした。箱舟に乗ったノアとその家族たちは生き残り、それより後の人類の祖先となった。
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洪水神話は世界各地に見られます。川は文明を産む滋養をもたらしますが、同時に時に氾濫して人類社会に大量死をもたらしました。その経験がこういう神話を産んだものでしょう。人間の大量死はまた新たな発展の種でもありました。生きのこったものがつくる新たな社会はそれまでと確実に違っていた。文明が堕落に染まる時、自然の神が水でそれを洗うということは多々あったのです。そしてそのたびに、人間は新たによみがえってきたのでした。