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もっとかわいがってあげたかったの
でもわたしいそがしくて
いちろう わたしのいぬ
めすだったのに おすとまちがえて
つけたなまえなの
すきだった ぷろやきゅうせんしゅのなまえ
くさりの一生を 家族にささげてくれた
しっぽをふってくれた
かわいい目でみてくれた
かわいかった かわいかった かわいかった
もっといっしょにすごしたかった
もっとよいことをしてあげたかった
おまえをわかってあげられるのは
わたしだけだったのに
くすのきをめざす
こどくの散歩道をついてきてくれた
冷たい風の中ついてきてくれたのは
おまえだけだった
わたしをまっすぐに
あいしてくれたのは おまえだけだった
いちろう
ああもう ねむろう
つかれは てた
なにがあったのかなんて
おもいだしたくない
いちろう
ゆめのなかで
いまおまえが いきているせかいに
いけるだろうか
いちろう
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ティツィアーノ・ヴェチェリオ、「自画像」、16世紀イタリア、ルネサンス、ヴェネツィア派。
二枚目。
同じくティツィアーノ・ヴェチェリオ、「聖なる愛と俗なる愛」。