世界はキラキラおもちゃ箱・2

わたしはてんこ。少々自閉傾向のある詩人です。わたしの仕事は、神様が世界中に隠した、キラキラおもちゃを探すこと。

魔王

2012-03-21 07:04:03 | 詩集・貝の琴

今更 どの面を下げて
家に 帰れようか

今更 どうして 言えようか
全ては 嘘だったと

背負わなければならない
あまりにも 重い荷と
目の前に続く 果てしない道の
溶けあった 巨大な 林檎の
薄みを帯びた 影が
おれの血に しのびこんでくる
ゆるゆると 骨が腐って くる

何かが 落ちてくる 音が
聞こえる
星に 頭を かち割られる
その日が 近いと
おれが おれに言う

今更 何を 言える のか
おれが おれに
すべて こんなことは 馬鹿だったと

ああ おぞましい 喜劇の
きりのない 繰り返しの
あまりにも 滑稽な 悲劇の
幕が 闇のように 落ちてくる

おしまいだ



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愚か者

2012-03-20 06:59:42 | 詩集・貝の琴

愚か者よ
それは家の鍵
車の鍵
蔵の鍵
そして
決して開けてはならない
魔物の部屋の鍵

愚か者よ
神のため息に 背中を向け
幻の天を仰ぎ
架空の法則の 舞台を作り
偽物の仮面の 劇を書く

握りつぶした 薔薇のあえぎと
引き裂いた 蟹の血を混ぜた
インクに ペンを濡らし
何もない頭の中を ひねりにひねっては
強引なハピイ・エンドを よじりだす

愚か者よ
朽ちた舞台に 独り立ちつくし
おまえを演じているものは 誰だ



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人類

2012-03-19 07:31:08 | 詩集・貝の琴

ああ、またやった。
馬鹿が、またやった。
辛いのに、苦しいのに、
またやった。

なんで、やるのか。
なんで、やるのか。
結局は、馬鹿なことになるのに、
なんで、こんなことを、やるのか。

ああ、もういやだ。
こんな自分は、もういやだ。
つらい、苦しい、
息が、できない。
どこかに、どこかに、何かが、ないか。
どこかに、どこかに、おれの、光は、ないか。

かあみさま、助けて。
どこに、いけばいい。
なにを、すればいい。
教えて。何かをくれ。欲しい。
欲しい。何かが、欲しい。
それは何。教えて。

かあみさま、教えて…



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ドラゴン・炎の鞭

2012-03-18 06:47:59 | 詩集・貝の琴

人類よ 

覚悟せよ

おれは おまえたちの
偽りの舌をねじりとり
木の葉のように枯れ木に突きとおす
嘘の眼をくりぬき
芋のようにかき集めては
幾億の星が流してきた涙の樽で洗う

その耳に貼りついた何万年の岩塩を割り砕き
真実の轟音を無理やり脳に流し込む
全く同じだが全く違う偽物の王の
豪奢な王冠とローブを嘲り
おまえのすべてを笑い殺す

人類よ

覚悟せよ

真実の前に凍りつけ
おまえたちのなしたことのすべて
神はおまえたちにつきかえす

嘘だ というおまえの喉に
おれは遠慮なく鉛の湯を流し込む
阿呆らめ 
よくぞやりおった!!



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愛の天使

2012-03-17 06:56:32 | 詩集・貝の琴

神の国に
門など ありません
鍵など ありません

誰でも 自由に
いつでも どこからでも
入ることができます
鍵が あるとすれば
それは あなた自身

鈍色の砂文字を 大量に集めて
勝手に門を 作らないでください
腐った牛骨から 強引に金をよじりだして
勝手に鍵を 作らないでください

愛は 何ものをも こばみません
あなたを 心より 愛しています
愛は いつでも あなたを待っています
長い長い時を 待ち続けています



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嘆きの天使

2012-03-16 07:31:10 | 詩集・貝の琴

朽ちた酒甕の闇の中に
迷う人々よ

あなたたちが
薔薇の水と勘違いして
飲んでいるのは
苦い塩の混じる灰の泥なのだ

あなたたちが
金鉱の胎を目指して
掘り進んでいるその穴は
腐った氷の罠に落ちる
深い地獄への道なのだ

ああ
はるか永遠の過去から繰り返す
神の鳥のくちばしが
甕をたたくそのかすかな音に
耳を澄ます人はいないのか



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癒しの天使

2012-03-15 07:02:09 | 詩集・貝の琴

人々よ
わたしは 吹きすさぶ嵐の中に
神の真実を用いて
小さな金の小屋を建てておく

その中では 沈黙の樹霊が
金の枝を二本 長く差し出し
あなた方の魂は その上で
小鳥のように安らうことができる

訪れてくるものは
未だないが
わたしはいつも
そこで待っている



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裁きの天使

2012-03-14 07:34:08 | 詩集・貝の琴

人々よ
あなたがたは
真実に翻弄される

あなたがたがかつて
思いもしなかったところに落とした影を
真実は全て覚えている

何を見ても あなたがたが
驚かないということはないだろう
こんなことがあるのかと
あなたがたはみな 思うことだろう

真実は厳しい そして正しい
それゆえに あなたがたは
今 強さを学んでおきなさい
苦しさに耐えるすべを
学んでおきなさい

道は長い そして厳しい
だがそれはひたすらに
神の愛に向かってすすんでいる
あなたがたは苦しいが
すでに天国にいる

真実を 見ねばならぬ日のために
今を おろそかにしてはならない
闇に染まるその瞳を日向で洗い
正しい神のことばを
繰り返し 読んでおきなさい



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道標の天使

2012-03-13 07:21:36 | 詩集・貝の琴

ゆくあての ないものよ
どこにゆく?

ああ 灰と泥と枯れた虹の混じる闇の煙に
引き込まれてゆくのか また

ああ 毒薬と嘘の彩と青い薔薇の妬みに
沈み込んでゆくのか また

どこにゆく?

ああ また見失うのか
木々の梢の隙間に垣間見た
ひとかけらの月のしじまに
愛をおりこんだ水晶の風の
ため息を見捨て

どこにゆくのか



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導きの天使

2012-03-12 07:08:17 | 詩集・貝の琴

幻を追うな
消えてしまったものばかりを
いつまでも見るのではない

手を見よ
足を見よ
己の頭の中を見よ
何がある

あるものから 始めるのだ
おまえは 存在する
ありてあるものよ
おまえの今持てるものを見よ

神はすでにすべてをおまえに与えている

行け



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