普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

安倍首相の二枚舌、米紙の社説

2007-07-15 06:29:43 | 国際社会

7月14日、米国の新聞の中から「Japan」で検索しているうちにワシントン・ポスト の Shinzo Abe's Double Talk と言う社説に出くわした。

日付が3月24日で随分前の話だったが、余りにも酷い内容だったので紹介する。

今週の北朝鮮との6カ国協議で最も強硬なのは金正日政権の求めに応じて、不格好にも銀行資金を急いで提供しようとしているブッシュ政権でなくて日本だ。東京は数十年前に北朝鮮で誘拐されたとする、17名の日本人の情報を提供するように主張し、その回答が出るまで、関係改善に関する討議を拒否した。
この一本槍の政策は安倍首相の高いモラルを示すように見える。
(中略)
安倍さんはピョンヤンの強硬な拒絶に対して、文句を言ってもよい。
然し可笑しく不快なのは、二次大戦中の何十万と言う女性を誘拐、レイプ、性的奴隷にした責任を負うことに反対する彼のパラレルのキャンペーンだ。
米国議会で差し迫った公式の謝罪を求める決議に対して、安倍さんは今月二度にわたって、日本軍が女性の誘拐に関与した書類はないと声明した。先週閣議決定された書面は1993年の所謂慰安婦の野蛮な取り扱いについて認めた政府声明を弱めた。
事実上、この慰安婦問題の歴史の記録は、北朝鮮が日本人を拉致し、その内の数人を教師や通訳に使ったと同じ程説得力のあるものだ。
歴史学者は言う。韓国、中国、フィリピンやその他のアジアの国から20万にもなる女性が性的な奴隷にされ、日本軍が誘拐に関与した。
この制度の多くの生き残りの人達が彼女らの恐ろしい経験を語っている。その中の3人は議会で証言した。
日本政府が、彼女らの苦難にたいして、責任を負わず賠償も払わないのは、酷い事だ。
また安倍さんが前回の声明を翻すのは、主要な民主主義国家のリーダーとして、恥じるべきだ。
安倍さんは(慰安婦の)誘拐について日本政府の直接の関与が無かった事を否定することは、北朝鮮に回答を求めるさいの道徳的な権威を強めるかも知れないと思っているかもしれない。それは反対だ。もし安倍さんが日本人の拉致された人々に対して国際的なサポートを求めるのなら、彼は率直に日本自身の犯罪を責任を負うべきだ。そして彼が傷つけた被害者に謝るべきだ。

この社説が誤報に基づいていることは、これは心ある日本人なら直ぐ判る事だ。
桜井さんたちの同じワシントン・ポストに出した意見広告が完全とは言えないかも知れないが、ほぼ正確な事実だ。

然し同紙の社説は完全に風評に基づいたもので、いやしくも有力紙が他国の首相を批判するのなら、正確な史実に基づくべきだ。

歴史学者とは誰だ。20万と言う荒唐無稽な数字がある日いきなり飛び出した経緯。日本軍が公娼制度を戦地に持ち込んだことは確かだが、拉致または誘拐に関与した事実の証明は。戦地で一部の兵士が軍規違反して強制的に現地女性を使ったことひっくるめるて、20万と拡大解釈したことなどなど。

唯はっきりしているのは、日本政府が情報戦に敗れたことは確かだ。
それもロビー活動をした一部の韓国や中国の人達に。

そして結果は深刻なものだ。
六カ国協議は米国の態度変更で、基本的な核放棄に向けて解決の方向に向いているのに、日本だけが取り残されている。
米国の日本に対する信義に悖った行為に慰安婦問題が良い言い訳になっている。

日本の米国に頼りきった作戦では、北朝鮮がまた態度を変更して、核問題を依然としてちらつかせて、米国政府を激昂させるのを待つしかない。

それとも日本と北朝鮮の二国間交渉に当たるか。
この時北朝鮮が圧倒的な有利な立場になるのは間違いない。おまけにここでも慰安婦問題が影を落とす
それでも、日本は今までのように対話(実際は殆どなし)と圧力作戦を続けて行けるだろうか。

小泉さんの訪朝で北朝鮮の対話が始まりかかった時と情勢が全く違っているのだ。
(この時も米国の介入で中断になってしまった。そして今になって米国から梯子を外されているのだ。)

日本を取り巻く米国、中国、韓国、北朝鮮から見れば、日本ほど御しやすい国はないだろう。
まず日本が何か言ってきても適当にあしらって、日本が唯一に頼りにしている米国を動かせば良い。そして、このことを一番良く知っているのは北朝鮮だ。

そのためには、慰安婦や南京虐殺などの誤報や誇大宣伝で、米国民の正義感をくすぐれば良い。

それで足らぬ時は日本の歴史問題をちらつかす。
それでも足らぬときは竹島問題のように強引に実力を行使する。

私は六カ国協議で米国の態度が変わり出した時も、慰安婦問題が発生した時も、これが拉致問題に大きな影響を与えると予想してブログにも書き、政府にも時々投書してきた。
その一つの現れがワシントン・ポストの社説だ。

今こそ日本政府は米国一本槍から脱却して、日本独自の外交戦略を確立すべきだ。
そしてその基本となる安倍さんの言う情報機関の整備と、情報戦略の建て直しを図るべきだ。

何故なら日本は外国とのトラブル解決に武力の行使は出来ない平和憲法を頂いているのだから。
米国や中国のように、外交の手段として、武力行使はせずともその可能性をちらつかせることも出来ないのだから。

何度も言うが、日本は外国とのトラブル解決は外交に頼る しかない。
いくら米国が頼りでも、日米同盟があっても、米国が自国の有利になるような方策を取りそれが日本に取って不利になることがあっても、日本は米国に文句は言えないのは当然だから。
そして唯一の頼りの外交の基本は情報だ。

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参照:
北の核実験いかにして国を護るか
6ケ国合意の現実を覚えて置こう

世界に日本の意見を発信しよう
慰安婦問題と拉致問題
安倍さんの慰安婦発言について