普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

柏崎刈羽原発事故について

2007-07-26 09:54:04 | 日々雑感

<<原発批判>>
柏崎周辺で起こった地震による原発の事故についてマスコミやブログでの批判が盛んだ。私は昔、装置産業の工場の保全を担当した経験から、原発側の立場になって今回の事故を考えてみた。

マスコミなどの報道を見て昔の原発反対運動が盛んだったころより、ずいぶん良くなったなと思ったのは、今回の事故で原発無用論が殆ど出なかった事だ。

当時は原発の専門家と自称する人達や、経済評論家が、危険な原発よりも風力やソーラー発電など無害なものを開発すべきだと反対していた。
彼らはその発生可能な発電量など全く無視していた。

私はそんな報道やテレビ番組を見ていて、そんな詰まらぬことを言うくらいなら、何故もっと有効確実な省エネなど言わないのかと呆れたり憤慨したのを覚えている。

そのような人達は風力やソーラー発電の実際を見て彼らの昔の意見が空論だったのに気付いたのだろう。

それでも専門家、テレビの解説者やコメンテータータがいろいろ原発関係者の批判をしている。

<事故の責任>
今回の原因は近くに活断層があったことを見落としていたことに尽きる。
これに対しては、責められるべきは本来そのような活断層を見落とした人達、次にそれを信じて柏崎の地を選んだ人達、次は原発の耐震基準を作った人達だ。
そうかと言って現在の原発の運転者達も当然責任を負うのは当然だ。

然し言いたいのは、マスコミが原発の危険性を煽ったり、運転責任者ばかり責めても、物事の本質を見失うもので、基本的な解決にならないことだ。

<<今回の原発事故が教えるもの>>
7月26日 読売新聞の柏崎刈羽原発「再開は来秋以降」…班目・東大教授が見通し

によると、
経済産業省が新設する審議会の委員長に内定している班目春樹さん(原子力社会工学)は原発に求められる4段階の耐震基準のうち、上から3、4番目の「B」「C」に分類されている機器や建物について、「今回のような想定を超える地震では、壊れて当たり前」だといい、「たとえBやCの機器が壊れても、外部に放射性物質を大量に放出するような事故には発展させないのが原発の設計思想」とも強調した。
と言ったそうだ。

勿論経済面から何から何までも原子炉並みA級の耐震強度を持たせることは、無茶な話だ。

原発の運転のポイントは、地震が起こった時原子炉で最も重要とされる「止める」「閉じこめる」「冷やす」、という三つの機能が正常に働くことだ。

今回は、地震→変圧器の火災→消火設備と体制の不備→陥没などの道路事情→外部消防車到着の遅れ→数時間後に鎮火で済んだ。
然しこの程度で収まらず、全変圧器の故障、所内停電→ポンプ停止、となれば肝心の基本操作である、原子炉を「冷やす」ことが出来ただろうか。(勿論ポンプ系統にも二重、三重の安全処置がされていると思うが。)

<<今回の教訓を活かそう>>
この様に、今回の事故は、B,C級の装置の事故でも、廻り廻って大事故を起こす可能性があり、原子炉本体に影響を及ぼすかも知れないし、外部の人達の人身に大きな影響を及ぼす放射能漏れが起こる危険性もあることを我々に教えてくれた。

緊急のとき、原子炉を即座に完全にシャット・ダウンし、あらゆる設備からの放射能洩れを完全に防ぐこと。
その為にそれに関する周辺装置も原子炉に準じた耐震基準内に整備して置く事。
そしておもむろに時間をかけてそのほかの壊れた周辺機器を修理するのが本筋の考え方だろう。

しかしこれは言うは安く行うのか難しの良い例だが、やるしかないのが原発の宿命だ。

柏崎刈羽原子力発電所では変圧器の火災の他にも、排気ダクトのずれ、消火配管の破損、使用済み燃料プールからの水のあふれ、クレーンの故障、道路の陥没など多くの事故が発生したそうだ。

今回は幸いにも周辺に災害を及ぼさずに停止できたと言う、貴重な経験と教訓を残したくれた。

それにこれらの損傷状況の一般公開は他の多くの原発関係者に多くの情報を与えたに違いない。
特に、使用済み燃料プールからの水のあふれなどおよそ考えつかない事故だが、この映像を見て、十勝沖地震(M8.0)で出光興産㈱北海道製油所の大型の原油タンクの火災の原因である、油面の揺れ(スロッシング)に似ていると気付いた関係者や専門家も多くいたのに違いない。

この事は情報の公開が如何に大切かを物語っている。

これから多くの専門家や関係者が周辺装置の事故原因を探求し対策を考えるのだろう。

そしてこの全ての教訓とノウハウはをは国内の全原発に伝えるべきだ。
何故なら一般企業と違って、日本の国策会社である各電力会社の間で競い合う必要などなど何もないのだから。

このブログを、より多くの人にも見て貰いたいと思っています。どうぞご協力をお願い致します。↓
人気ブログランキングへ
政治ブログへ