最近気がついたのだが、1984年7月のシーナ&ザ・ロケットの日比谷野外音楽堂でのライブ映像がYou Tubeにアップロードされていた。
ソースはTBSで深夜に放映されたもので、この夜はバンドがその年に移籍したビクターのレーベルの所属アーティストたちが大挙出演するフェスティバル形式のライブだった。
トリを務めるバンドを待つ間、BGMに流れたサム・クックの「ワンダフル・ワールド」がきれいな夜空に溶けて行くのを僕はうっとりと眺めた。ジョージ・オーウェルの小説「1984年」のような世界は幸いにもやって来なかった。
シーナは産休が明けて間もなかったが、彼女のステージさばきは相変わらず見事だった。
たしか、あのへんにいたはずだ、と目を凝らして映像を観ると、35年前の僕がやはりいる。大男は見つけやすい。
ワンダフル・ワールド
歴史のことなんかあまり知らない
生物学なんかあまり知らない
科学の本のことなんかあまり知らない
専攻したフランス語のことなんかあまり知らない
でもね、きみを愛していることは知ってる
もしきみも僕を愛しているのなら
どんなに素敵な世界になるだろう
地理のことなんかあまり知らない
三角法なんかあまり知らない
代数学のことなんかあまり知らない
計算尺を何に使うのかも知らない
でもね、1+1が2だってことは知ってる
もしその1がきみだったなら
どんなに素敵な世界になるだろう
優等生にして欲しいなんて言わないけど
そうなろうと頑張ってはいる
ひょっとして優等生になれば
きみの愛を勝ち取れるかもしれないと思ってね
歴史
生物学
科学の本
専攻したフランス語
でもね、きみを愛していることは知ってる
もしきみも僕を愛しているのなら
どんなに素敵な世界になるだろう
きれいな夜空を見上げると、不思議とこの曲が思い出されます。
ソウルシンガー、サム・クックの代表作。
一見、スクールボーイの甘いラブソングのようですが、黒人のクックが1960年に歌っているところに、非常なアイロニーを感じます。
私がまっすぐ歩いて行くと、彼は身を縮めながらおどけた調子で言った。
ハグは苦手だな。
ムッとした私は右手で彼の上着の衿を掴み、ぐいと前に引き寄せた。
不意を突かれてバランスを崩した彼は見事なくらいべったり地面に這いつくばった。
少しの間見下ろしていたが動く気配がないので私は立ち去ろうとした。
すると、彼はうつぶせのまま手を伸ばし、私の足首を掴んだ。
そんなに怒らなくてもいいじゃない、世の中にはハグが苦手なひとだっているだろう。
でも、これからは心掛けて、会うたび握手をするから。それで大目に見てはくれないかい。
彼の必死さがくぐもった声ばかりでなく、握力からも伝わってきて、私は申し出を受け入れることにした。
「ただいまご紹介にあずかりました、組合長の井浦でございます。
開会にあたりまして、共催者の福法組を代表して一言ご挨拶を申し上げます。
はじめに、みなさまにおかれましては、ご多用のところ、また、業務のあとの遅い時間にお集まりいただきましたこと、心より感謝申し上げます。ありがとうございます。
さて、本日は、防災意識の向上を目的とした研修会を、昨年度に引き続き、K市様と本組合の共催により、こうして開催することとなりました。
このように、自治体と介護サービス事業者の会が共催で研修を行なうというようなケースは非常に珍しいことで、それだけK市様がわれわれ事業者へ寄り添ってくださっている証しの一つではないかと嬉しく感じております。
福法組はこれからもこの良好な関係を維持しながら、平時も、そして有事の際も、大切な利用者様と職員、そしてそれぞれの事業所が立地する地域住民の方々の安全を確保する不断の努力を、組合員のみなさまとともに続けてまいります。
このあと、市危機管理課様より講話をいただくほか、先進的な取り組みの事例を隣県K市から遠路お越しいただいた特定非営利活動法人ファミリーサポーターサンライズの町田理事長様よりご教授いただいくことになっています。
町田様には本日はじめてお目にかかりますが、法人の沿革を拝見すると、事業型NPO法人を設立して、認知症高齢者グループホームや小規模多機能ホーム、通所介護を開設・運営されているとのこと、私もそのような道を歩んでまいりましたので、個人的に親しみを感じております。なにより、同じI県グループホーム協議会の会員でもあります。
今夜は、隣県の方のお話をお聞きすることで、われわれの防災についての危機意識を新たにしていきたいと思います。
それでは、長くなりましたが、これをもちまして私の開会の挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いします。」
「ただいまご紹介に預かりました、K市福祉施設等運営法人組合長の井浦でございます。
本日は介護職員初任者研修の開講、誠におめでとうございます。
これからみなさんは11月までの約5か月にわたって、研修に臨むわけですが、費やした日数以上のものを体得し、実際の業務に取り組む際の自信の拠り所としていただきたいと願います。
昨年度は20名の受講生のうち半数が市内の高校生の方々でしたが、今回は高校生の方もいれば、すでに各種事業所へお勤めの職員さん、これから就業予定の方々と、バラエティに富んだクラスになっていると聞きました。
ぜひとも、世代を超えて助け合い、励まし合いながら全員揃って閉講式を迎えてください。
みなさんが笑顔でゴールすること、それが、本研修の受講について助成していただいた本市へのご恩返しでもあります。
本市はここにいるみなさん全員の活躍を待っています。
みなさんは求められています。
みなさんが当地域の福祉介護を支える貴重な人材となられますことを心より祈念して、私の祝辞とさせていただきます。頑張って。」