電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

平岩弓枝『御宿かわせみ14・神かくし』を読む

2005年09月03日 15時32分44秒 | -平岩弓技
ようやく見付けた第14巻、『神かくし』全8話を読む。第1話「梅若塚に雨が降る」、江戸の火事で焼け出された商家に火事場泥棒が頻発する。盗賊は、内鍵を開ける手引をした清ニ郎を殺したところで東吾らに捕まるが、若い母親は幼児を育てる力がない。第2話「みずすまし」、多情な女の作り話に周囲が翻弄される話。次の第3話「天下祭の夜」も、江戸の繁栄に心を奪われた女の哀れな末路。以上、愚かな女の三部作。平岩弓枝さんは、けっこう同性に厳しい。パチンコ店の駐車場に幼児を放置し、熱射病で死なせた事件などが、意外に作品のきっかけになっているのかもしれない。
第4話「目黒川の蛍」は、今度は不実な男の話だ。第5話、「六阿弥陀道しるべ」は、大店に長年滅私奉公してきた男が、昔不幸にした母と子に田畑を贈る話。なんだか、家庭をかえりみず経済戦争に従事していた猛烈サラリーマンが、定年退職し退職金で土地を買い、妻子に詫びる話みたい。
第6話「時雨降る夜」は、いつまでも子どもを愛玩する女と、そこから独立しようとする息子。美人で年若く後家になった才女、立派な母親の裏に潜む般若の性格を描く。第7話「神かくし」、それぞれに理由の異なる「神かくし」事件。
第8話、「麻生家の正月」では、七重の出産といろいろな夫婦の姿。立派な医者でまめに働き、子煩悩で家庭的な宗太郎は、東吾とはまた別のタイプの、理想の夫像の一つなのだろう。
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平凡な日常が好きだ

2005年09月03日 07時10分39秒 | Weblog
秋祭りの季節である。だいぶ昔の話になるが、地区の秋まつりを担当する、地元の若衆会の会長をしたことがある。イベントの出演者として、某世界チャンピオンを候補に選び、田舎の小さな祭りだが出演してもらえないかと交渉、快諾を得た。嬉しかった。毎日夜になると、いろいろな職業の若衆が三三五五集まって来て、祭りの準備をする。祭りの当日は、若衆会で御輿をかつぐので、若妻会の協力も得て、要所に握り飯や飲物の準備もした。朝から夕方まで御輿をかついで地区内の家々を回り、家内安全と五穀豊饒を祈願する。夕方へとへとになった頃にイベントが始まる。会長の挨拶もあり、イベントのゲストの対応もある。目が回るような一日だった。

で、祭りの翌日、早朝に若衆会員が集まって奉納ののぼりをおろし、普通の日常が始まった。仕事は忙しいが、なんだかほっとしたのを覚えている。劇的な日々は続かない。祭りの後には虚しさが来る。たまにあるから可能なのだ。

私は平凡な日常が好きだ。劇的な出来事が連続する事態は歓迎しない。ましてや、病気、事件・事故、災害など、いくら劇的であってもごめんこうむりたい。平凡な日常の中に、きらりと光るものがあったり、ゆらめく動きがあったりする。WEBサイトやWEBLOGは、そんな日常の反映だろう。書き手としては、そういうものをすくい上げるのが課題だろうし、読む側としても日常の中にどこか劇的なものを求めてしまう無理がないだろうか。
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