電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

午後から外出、成果は?

2005年09月10日 18時03分23秒 | Weblog
午後から外出、文具店に行き、壊れたボールペンのかわりに、日常使うものを物色。仰向けになっても書けるという「パワータンク」というボールペンの太字を購入。1200円也。このボールペン、なかなか書きやすい。軸の断面が三角形のような不思議な形をしており、軸の長さも短めなのだが、太字のせいかすらすら書ける。
続いてブックオフ探索。講談社文庫で、吉村昭著『間宮林蔵』他数点を購入。また、音楽CDを探したら、オケゲムの「レクイエム」だとかビュノワの「ミサ・ロム・アルメ」といった(私の)知らない曲を収録したアルヒーヴ盤や、ハイティンクとコンセルトヘボウ管弦楽団によるブラームス「ハンガリー舞曲集」、マリナー指揮アカデミー室内管弦楽団によるヴィヴァルディ「四季、調和の幻想」等を発見。各250円。
その後、洋菓子店に立ち寄り、ごまシュー等を購入。ここですごい夕立にあい、雷がピカピカゴロゴロいう中を自宅に戻り、稲妻を見ながら家人と紅茶でティータイム。
これからは、一雨ごとに涼しくなってきます。もうすぐ半袖では寒く感じるようになるでしょう。
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平岩弓枝『御宿かわせみ15・恋文心中』を読む

2005年09月10日 13時25分34秒 | -平岩弓技
平岩弓枝の『御宿かわせみ』シリーズを読みはじめたのはいつだったろうか。

$ grep "御宿かわせみ" memo????.txt | sort | less

で調べてみたら、

memo2003.txt:2003/12/29 平岩弓枝『御宿かわせみ』読了 文春文庫で、平岩弓枝著『御宿かわせみ』を読了した。ずっと前に、NHKでドラマ化され放送されたことがある。(以下略)

が最初のようだ。以後、旅先や休暇などに少しずつ読み、15巻まで来た。書店では、文庫で第30巻が平積みで並んでいたから、ようやく折り返し点に到達したことになる。

文春文庫版の第15巻は、例によって全8話からなる。第1話「雪女郎」では、黒船来航の世情を背景に、東吾が部屋積みの身分から幕府のどこやらに出仕するかもしれない、という。雪女郎を装った殺しの背景には、岡場所の女の悲しさが浮かびあがる。
第2話「浅草天文台の怪」は、家宝の兜を質に入れたが、それが見世物になっているだけでなく幽霊話で瓦版が出る始末。さあ大変、の話。
第3話、表題作「恋文心中」。いくら大名の御後室とはいえ、25歳で強制的に出家させられるのはかなわない。軟弱男もひどいが、追い詰められた女心が哀れです、というお話。さりげなく東吾が幕府の講武所に出仕し、加えて軍艦操練所にも通うようになる。
第4話「わかれ橋」、二人でちゃんと話せばわかるものを。コミュニケーション不足の夫婦の危機を回避。
第5話「祝言」、東吾とるいが祝言をあげる。当人達も周囲の人とも(もしかしたらこの物語の愛読者も)、待ちに待った日だろう。祝いの情景はめでたく情感たっぷりだが、それと対比するかのように、20年前の大火事で別れ別れになった男女の、時の流れを描いた作者の意図は、どこにあるのだろうか。
第6話「お富士さんの蛇」。憎しみ、恨みが殺意に変わる。
第7話「八朔の日」。吉原の八朔を見になんて行くなよ、新婚の東吾さん。
第8話「浮世小路の女」、子どもの頃の記憶が甦ったとき、女はすでに上方に去り、いない。この空虚感を伴う余韻は、たぶん作者の年齢に関わるものだろう。

黒船来航の前後は、いろいろな物語になっているが、私が真っ先に思い浮かべるのは吉村昭の『アメリカ彦蔵』だ。「物語案内」の『アメリカ彦蔵』のページ(*)には、山形県天童市の旧家に伝わる黒船絵図の古文書を掲載している。浦賀から遠く離れた出羽の国でも、黒船のニュースは村人に伝えられ、お上の威信はぐらつき、明治維新の伏線となっていったのだろう。

(*): 「物語案内」より吉村昭『アメリカ彦蔵』
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