このところ、通勤の音楽で毎日聴いているシューマンの交響曲第3番「ライン」、実は11月の山形交響楽団の定期演奏会の演目です。ブラームスのセレナード、クララ・シューマンのピアノ協奏曲、そして「ライン」交響曲というプログラム。当「電網郊外散歩道」では、これまでも一度取り上げております(*1)が、この冬にほぼ30年ぶりに再会し入手した、セルとクリーヴランド管弦楽団の演奏では、まだでした。
セルとクリーヴランド管の演奏、実に自然で、快い速さです。特に第1楽章のテンポは爽快で、音楽の表情が実に生き生きとしています。第2楽章のスケルツォも、精緻なリズムの上に、金管群がバランスの取れた響きを聴かせ、ちょっと民族音楽風の要素もある、さわやかな音楽になっています。第3楽章も、テンポはわりに速目なのですが、どこか平和で牧歌的な音楽。重くなく、軽やかさがある点は、このコンビの特質でしょう。第4楽章、冒頭の音の力強さにはただ驚くばかり。充分に落ち着いたテンポで、壮麗さを見事に表現しえていると思います。終楽章、やはり快速テンポで、はぎれよく精妙なリズムと、よくコントロールされた音色とバランスを堪能することができます。
この演奏の特質は、テンポと響きのバランスにあるように思います。この速目のテンポを全く自然で快適に感じるのは、デビュー以来ずっとシューマンの交響曲作品の擁護者であったセルの解釈の、作品に即した合理性を意味するものでしょうし、管楽器群の中でも、それぞれの楽器のバランスがよくコントロールされており、透明な響きを確保できていることを表しているものと思います。言葉にすれば当然のことのように思いますが、その音楽的な完成度は驚くべきものです!
録音は1960年10月21日、クリーヴランドのセヴェランス・ホールで行われています。ちょうどシューマンの生誕150年のメモリアル・イヤーに際し、CBSにより集中的に取り組まれた一連の録音の一つのようです。SONY SRCR-2546、「春」と「マンフレッド序曲」が併録されており、どちらも素晴らしい演奏です。
もう一つ、クーベリック指揮のバイエルン放送交響楽団の演奏は、ゆったりした呼吸の、気宇の大きいもので、特に第5楽章の壮麗な気分は格別です。スウィトナー盤とともに、遅目のテンポの演奏を聴きたい気分の時によく手が伸びます。1979年5月、CBSにより、ミュンヘンのヘラクレス・ザールで集中的に行われた録音セッション、こちらも、素晴らしい演奏です。
■ジョージ・セル指揮クリーヴランド管弦楽団
I=9'13" II=6'16" III=5'09" IV=5'46" V=5'50" total=32'14"
■クーベリック指揮バイエルン放送交響楽団
I+II=16'25" III+IV=12'45" V=5'50" total=35'00"
※LP全集(69AC839-841)による。全集分売CDには、残念ながらこうした演奏・録音データの記載はありませんが、LPの解説はたいへん充実しています。
(*1):シューマンの交響曲第3番「ライン」を聞く~「電網郊外散歩道」
参考までに、この記事では以下のCDの演奏を取り上げております。
■スウィトナー指揮ベルリン・シュターツカペレ
I=10'40" II=6'46" III=6'39" IV=5'22" V=6'30" total=35'57"
■ローベルト・ヘーゲル指揮バンベルク交響楽団
I=11'02" II=6'10" III=5'50" IV=5'48" V=6'18" total=35'08"
写真は、左側カートン箱LPとその下のCDがクーベリック盤、右側のCDは、上からセル指揮クリーヴランド管、スウィトナー盤、ローベルト・ヘーゲル(ハーガー)盤です。
セルとクリーヴランド管の演奏、実に自然で、快い速さです。特に第1楽章のテンポは爽快で、音楽の表情が実に生き生きとしています。第2楽章のスケルツォも、精緻なリズムの上に、金管群がバランスの取れた響きを聴かせ、ちょっと民族音楽風の要素もある、さわやかな音楽になっています。第3楽章も、テンポはわりに速目なのですが、どこか平和で牧歌的な音楽。重くなく、軽やかさがある点は、このコンビの特質でしょう。第4楽章、冒頭の音の力強さにはただ驚くばかり。充分に落ち着いたテンポで、壮麗さを見事に表現しえていると思います。終楽章、やはり快速テンポで、はぎれよく精妙なリズムと、よくコントロールされた音色とバランスを堪能することができます。
この演奏の特質は、テンポと響きのバランスにあるように思います。この速目のテンポを全く自然で快適に感じるのは、デビュー以来ずっとシューマンの交響曲作品の擁護者であったセルの解釈の、作品に即した合理性を意味するものでしょうし、管楽器群の中でも、それぞれの楽器のバランスがよくコントロールされており、透明な響きを確保できていることを表しているものと思います。言葉にすれば当然のことのように思いますが、その音楽的な完成度は驚くべきものです!
録音は1960年10月21日、クリーヴランドのセヴェランス・ホールで行われています。ちょうどシューマンの生誕150年のメモリアル・イヤーに際し、CBSにより集中的に取り組まれた一連の録音の一つのようです。SONY SRCR-2546、「春」と「マンフレッド序曲」が併録されており、どちらも素晴らしい演奏です。
もう一つ、クーベリック指揮のバイエルン放送交響楽団の演奏は、ゆったりした呼吸の、気宇の大きいもので、特に第5楽章の壮麗な気分は格別です。スウィトナー盤とともに、遅目のテンポの演奏を聴きたい気分の時によく手が伸びます。1979年5月、CBSにより、ミュンヘンのヘラクレス・ザールで集中的に行われた録音セッション、こちらも、素晴らしい演奏です。
■ジョージ・セル指揮クリーヴランド管弦楽団
I=9'13" II=6'16" III=5'09" IV=5'46" V=5'50" total=32'14"
■クーベリック指揮バイエルン放送交響楽団
I+II=16'25" III+IV=12'45" V=5'50" total=35'00"
※LP全集(69AC839-841)による。全集分売CDには、残念ながらこうした演奏・録音データの記載はありませんが、LPの解説はたいへん充実しています。
(*1):シューマンの交響曲第3番「ライン」を聞く~「電網郊外散歩道」
参考までに、この記事では以下のCDの演奏を取り上げております。
■スウィトナー指揮ベルリン・シュターツカペレ
I=10'40" II=6'46" III=6'39" IV=5'22" V=6'30" total=35'57"
■ローベルト・ヘーゲル指揮バンベルク交響楽団
I=11'02" II=6'10" III=5'50" IV=5'48" V=6'18" total=35'08"
写真は、左側カートン箱LPとその下のCDがクーベリック盤、右側のCDは、上からセル指揮クリーヴランド管、スウィトナー盤、ローベルト・ヘーゲル(ハーガー)盤です。