11月24日の土曜日、夜7時から、山形テルサホールにて、山形交響楽団第184回定期演奏会を聴きました。恒例の指揮者プレトークは、音楽監督の飯森範親さん。今日のプログラムについて、解説を加えました。1曲目のブラームスのセレナード第2番は、ヴァイオリンのない楽器編成。R.シューマンの死後、クララ・シューマンに献呈された曲だそうです。
2番目の曲、クララ・シューマンのピアノ協奏曲は14歳の時の作品だそうです。3番目の曲目は、R.シューマンの交響曲第3番「ライン」ですが、これは4曲あるシューマンの最後の交響曲。実は2番目の交響曲を改訂したものが交響曲第4番となったためです。R.シューマンは、きっと若きブラームスの才能を意識したにちがいない、少なくとも特別な接し方をしている、とのことでした。
指揮者プレトークが終わって、飯森さんも一度は舞台袖に引っ込んだのでしたが、マイクを持って再び登場。実は駐車場が混んでいて、入場にもう少し時間がかかりそうだとのこと、もう少し話せと言われたと客席を笑わせます。このあたりのユーモアとサービス精神が、飯森さんの魅力の一つなのかも。で、予定外に追加された話の内容は、
(1) 作曲家のことをネット等で調べると、時代背景や作曲家の周辺を知ることができて面白いですよ、という提案。
(2) 山形市報の元旦号に、タマキ(?)くんと一緒に掲載予定。もう1つ、「のだめカンタービレ」のスペシャルが放送されるのだそうです。どうも、飯森さんがこの指揮を指導しているらしいのです。へ~、知らなかった(*)。
さて1曲目、25歳のブラームスによるセレナード第2番。ステージ中央の指揮者の前には、左にチェロ、右にヴィオラ。チェロの後方にはコントラバス、ヴィオラの後方にはピッコロ、フルート、オーボエ、さらにクラリネットとファゴット、そしてホルンという楽器配置。なんと、ヴァイオリンがありません。
第1楽章がフルートに導かれて開始。木管と中低弦による質朴な響きが印象的。第2楽章、ヴィヴァーチェ。文字通り生き生きとしたスケルツォ楽章です。第3楽章、低弦から始まるパッサカリア。そういえば、後の交響曲第4番の第4楽章もパッサカリアでした。第4楽章、クワジ・メヌエット。第5楽章、アレグロ。ひなびた味わいのある明るさです。
続いてステージ中央にピアノが据えられ、その左右に、第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンが対向配置されます。ほぼニ管編成のオーケストラが、セレナードの時と比べて、ずいぶんおおぜいに見えます。コンサートマスターは高木和弘さん、ピアノは三浦友理枝さん、ラヴェンダー色というのでしょうか、ごくうすい藤色のドレスです。曲目はクララ・シューマンのピアノ協奏曲イ短調作品7。3つの楽章が切れ目なしに演奏されます。冒頭のオーケストラによるテーマの後にピアノが入りますが、けっこう巨匠風です。第2楽章、ロマンティックな音楽で、ピアノとチェロの2人だけが寄り添うように歌います。ピアノは当然クララで、チェロはロベルトでしょうね。なぜなら、ロベルトは若い頃チェロをひいてましたから。さしずめ、二人の愛の歌でしょうか。第3楽章、静かにティンパニが入った後、トランペットによりがらりと曲想が変わり、フィナーレに。ピアノも主役として大活躍します。
聴衆の拍手に応えて、アンコールを2曲、R.シューマンの幻想小曲集から「なぜに」、続いて「子供の情景」から、冒頭の「知らない国々」でした。クララ・シューマンの協奏曲の後に、夢見るようなローベルト・シューマンのピアノ曲。そしてそれが後半のシンフォニーの予告編になっているという、粋なアンコールでした。
休憩後、いよいよ私の大好きな(*2,*3)、ローベルト・シューマンの交響曲第3番「ライン」。飯森さんも、歩き方で気合が入っているのがわかります。第1楽章、やや粘りのある熱演です。ホルンの斉奏も見事に決まります。トロンボーンは「出番はまだかなー」とじっとお休み。今回は、実はこのトロンボーンに注目していました。
チューニングの後、第2楽章、パストラール風の穏やかなスケルツォです。ゆったりしたテンポで、楽器間の受け渡しが見事です。第3楽章、ヴィオラの響きがすてきな箇所があります。第4楽章、いよいよトロンボーンの参加です。弦のピツィカートに乗って、管楽器がユニゾンで。重々しく厳粛な雰囲気です。音色がいい!終楽章はすぐに始まりました。いきいきと、盛り上がる場面でトロンボーンも参加。祝祭的な気分に、やっぱりよく似合います。
かなりの数のブラボーと盛大な拍手。健闘した5名のホルンと3名のトロンボーンに、惜しみない拍手がおくられました。そして、弦楽器の音色!第2ヴァイオリンのトップに、なんだか見慣れない若い人が座っているなぁと思ったら、なんと館野泉さんの息子さんなのだそうです。驚きました。山響は今日も成長しているんだなぁと、あらためて実感した演奏会でした。
(*):芸能スポーツにうとい「電網郊外散歩道」唯一の「のだめ」ネタ
(*2):シューマンの交響曲第3番「ライン」を聴く
(*3):セルとクリーヴランド管でシューマンの交響曲第3番「ライン」を聴く
2番目の曲、クララ・シューマンのピアノ協奏曲は14歳の時の作品だそうです。3番目の曲目は、R.シューマンの交響曲第3番「ライン」ですが、これは4曲あるシューマンの最後の交響曲。実は2番目の交響曲を改訂したものが交響曲第4番となったためです。R.シューマンは、きっと若きブラームスの才能を意識したにちがいない、少なくとも特別な接し方をしている、とのことでした。
指揮者プレトークが終わって、飯森さんも一度は舞台袖に引っ込んだのでしたが、マイクを持って再び登場。実は駐車場が混んでいて、入場にもう少し時間がかかりそうだとのこと、もう少し話せと言われたと客席を笑わせます。このあたりのユーモアとサービス精神が、飯森さんの魅力の一つなのかも。で、予定外に追加された話の内容は、
(1) 作曲家のことをネット等で調べると、時代背景や作曲家の周辺を知ることができて面白いですよ、という提案。
(2) 山形市報の元旦号に、タマキ(?)くんと一緒に掲載予定。もう1つ、「のだめカンタービレ」のスペシャルが放送されるのだそうです。どうも、飯森さんがこの指揮を指導しているらしいのです。へ~、知らなかった(*)。
さて1曲目、25歳のブラームスによるセレナード第2番。ステージ中央の指揮者の前には、左にチェロ、右にヴィオラ。チェロの後方にはコントラバス、ヴィオラの後方にはピッコロ、フルート、オーボエ、さらにクラリネットとファゴット、そしてホルンという楽器配置。なんと、ヴァイオリンがありません。
第1楽章がフルートに導かれて開始。木管と中低弦による質朴な響きが印象的。第2楽章、ヴィヴァーチェ。文字通り生き生きとしたスケルツォ楽章です。第3楽章、低弦から始まるパッサカリア。そういえば、後の交響曲第4番の第4楽章もパッサカリアでした。第4楽章、クワジ・メヌエット。第5楽章、アレグロ。ひなびた味わいのある明るさです。
続いてステージ中央にピアノが据えられ、その左右に、第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンが対向配置されます。ほぼニ管編成のオーケストラが、セレナードの時と比べて、ずいぶんおおぜいに見えます。コンサートマスターは高木和弘さん、ピアノは三浦友理枝さん、ラヴェンダー色というのでしょうか、ごくうすい藤色のドレスです。曲目はクララ・シューマンのピアノ協奏曲イ短調作品7。3つの楽章が切れ目なしに演奏されます。冒頭のオーケストラによるテーマの後にピアノが入りますが、けっこう巨匠風です。第2楽章、ロマンティックな音楽で、ピアノとチェロの2人だけが寄り添うように歌います。ピアノは当然クララで、チェロはロベルトでしょうね。なぜなら、ロベルトは若い頃チェロをひいてましたから。さしずめ、二人の愛の歌でしょうか。第3楽章、静かにティンパニが入った後、トランペットによりがらりと曲想が変わり、フィナーレに。ピアノも主役として大活躍します。
聴衆の拍手に応えて、アンコールを2曲、R.シューマンの幻想小曲集から「なぜに」、続いて「子供の情景」から、冒頭の「知らない国々」でした。クララ・シューマンの協奏曲の後に、夢見るようなローベルト・シューマンのピアノ曲。そしてそれが後半のシンフォニーの予告編になっているという、粋なアンコールでした。
休憩後、いよいよ私の大好きな(*2,*3)、ローベルト・シューマンの交響曲第3番「ライン」。飯森さんも、歩き方で気合が入っているのがわかります。第1楽章、やや粘りのある熱演です。ホルンの斉奏も見事に決まります。トロンボーンは「出番はまだかなー」とじっとお休み。今回は、実はこのトロンボーンに注目していました。
チューニングの後、第2楽章、パストラール風の穏やかなスケルツォです。ゆったりしたテンポで、楽器間の受け渡しが見事です。第3楽章、ヴィオラの響きがすてきな箇所があります。第4楽章、いよいよトロンボーンの参加です。弦のピツィカートに乗って、管楽器がユニゾンで。重々しく厳粛な雰囲気です。音色がいい!終楽章はすぐに始まりました。いきいきと、盛り上がる場面でトロンボーンも参加。祝祭的な気分に、やっぱりよく似合います。
かなりの数のブラボーと盛大な拍手。健闘した5名のホルンと3名のトロンボーンに、惜しみない拍手がおくられました。そして、弦楽器の音色!第2ヴァイオリンのトップに、なんだか見慣れない若い人が座っているなぁと思ったら、なんと館野泉さんの息子さんなのだそうです。驚きました。山響は今日も成長しているんだなぁと、あらためて実感した演奏会でした。
(*):芸能スポーツにうとい「電網郊外散歩道」唯一の「のだめ」ネタ
(*2):シューマンの交響曲第3番「ライン」を聴く
(*3):セルとクリーヴランド管でシューマンの交響曲第3番「ライン」を聴く