電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

ブラームス「ヴァイオリンソナタ第3番」を聴く

2018年10月22日 06時03分18秒 | -室内楽
しばらく通勤の音楽として楽しんだブラームスのヴァイオリンソナタ集のうち、近ごろ心に残ったのが第3番、ニ短調Op.108 でした。少々ほっとする時間がありましたので、自室のステレオ装置で聴きました。あいにく、ミニコンポのCDドライブは開閉が不調ですので、DVD プレイヤーで再生。CD再生も、とくに問題はなし。

この曲は、1886年から1888年にかけて作曲されたそうです。明治で言えば18年から21年にかけて、ヴェルディが「オテロ」を初演し、初代ドイツ皇帝ヴィルヘルムI世の死去に続いて二代目のフリードリヒIII世も死去するという世情不安定な時期。ブラームスは53歳から55歳、親しい人たちが亡くなり、自分自身も老いを自覚する頃でしょうか、没年まであと10年ほどしか残されていない時期の作品です。でも、3つの楽章からなりどちらかといえばチャーミングな他の二曲とは異なり、4つの楽章からなる堂々たるソナタと感じます。

第1楽章:アレグロ、ニ短調、4分の4拍子、ソナタ形式。
第2楽章:アダージョ、ニ長調、8分の3拍子、三部形式。
第3楽章:ウン・ポコ・プレスト・エ・コン・センティメント、嬰ヘ短調、4分の3拍子、三部形式。
第4楽章:プレスト・アジタート、ニ短調、8分の6拍子、ロンド・ソナタ形式。



CDは、イツァーク・パールマン(Vn)とウラディミール・アシュケナージ(Pf)による1983年のデジタル録音で、これはすっかりお馴染みの演奏です。加えて、ネットから入手(*1)したパブリック・ドメイン音源で、ヘンリック・シェリング(Vn)とアルトゥール・ルービンシュタイン(Pf)による録音も聴いています。後者では、第1番や第2番はいささか無愛想に感じてしまうのですが、この曲ではむしろ渋みやほろ苦さとなって好ましく感じられるようです。

とりわけ、第2楽章の魅力! 思わずセンチメンタルな心情に突入してしまう、しみじみとした音楽です。ブラームスはいいなあ!

■パールマン盤 (EMI CC33-3517)
I=7'58" II=4'47" III=2'49" IV=5'42" total=21'16"
■シェリング盤 (RhythmBoxで再生、無音部を省く)
I=7'42" II=4'39" III=2'56" IV=5'50" total=21'07"

(*1):クラシック音楽へのおさそい〜Blue Sky Label〜
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