電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

山形弦楽四重奏団第69回定期演奏会でモーツァルト、プッチーニ、ブリッジを聴く

2018年10月08日 06時45分34秒 | -室内楽
三連休の初日はご近所親族の四十九日の法事があり、美味しい冷酒をいただいて午睡も夕方まで延長となりました。連休中日は体調を整えて、いざ山形テルサへ。山形弦楽四重奏団の第69回定期演奏会です。いつもは雰囲気のある文翔館議場ホールでの定期演奏会ですが、今回はプログラムにあるとおり、ピアノ等の設営の都合もあって、山形テルサ三階アプローズでの実施となりました。

  1. W.A.モーツァルト ピアノ四重奏曲第1番 ト短調 K.478
  2. G.プッチーニ 「菊」
  3. F.ブリッジ 「ロンドンデリーの歌」
  4. W.A.モーツァルト ピアノ四重奏曲第2番 変ホ長調 K.493
      ピアノ:小林 路子

開演前に、山形大学の学生さんによるプレコンサートがありました。急遽決まったらしく、プログラムには記載がありませんでしたが、たびたび出演している平山燎(Vla)さんともう1人の女性のコントラバスのデュオで、グリエール?の「ヴィオラとコントラバスのための組曲」から3曲を演奏しました。3年生の平山さんはたぶん冬以来しばらくぶりで、進歩を感じました。2年生のCbもなかなかの熱演。特に2曲めは、弱音器を付けた効果がはっきりわかり、他の2曲との音色の対比が面白かった。

さて、開演となります。ステージ上には正面奥にピアノが配置され、その前に左からヴァイオリン(中島)、ヴィオラ(倉田)、チェロ(茂木)という形です。ピアノの小林路子さんは、ふわふわのピンクのドレスで登場、黒系の弦楽の男性三人の中にあって、まことに紅一点。

モーツァルトのピアノ四重奏曲第1番は、第1楽章の暗く劇的な始まりで、アレグロの音楽はいかにもモーツァルトのト短調といった感じ。中間部はモーツァルト的軽快さを見せます。第2楽章、アンダンテ。弦楽三重奏だけのところにピアノが入ってきたり、ピアノにチェロだけがそっと寄り添ったり、ピアノの右手は弦と一緒に動きながら左手は独立した低音進行の場面もあり。多彩で優美な音楽です。第3楽章はロンド、アレグロ・モデラート。ピアノと弦楽の自在なからみ合いが堪能できる、チャーミングで溌剌とした音楽です。時折、現代ピアノらしい響きと迫力を感じさせながら、モーツァルトの軽快な疾走感を味わいます。うーん、いいなあ。

第2曲めは、プッチーニの「菊」。これはれっきとした弦楽四重奏曲ですので、第2ヴァイオリンに今井東子さんが焦げ茶のノースリーブで加わります。ステージ左から、1st-Vn、2nd-Vn、Vla、Vc という配置。Vcに続いて始まる音楽は、歌劇作家プッチーニらしく、ひたすら旋律と響きを重視した短い音楽です。弦楽四重奏曲の世界の中では、ちょいと演歌っぽい音楽かも(^o^)/

休憩の後、3曲めはブリッジの「ロンドンデリーの歌」。ブリッジはブリテンの先生で前衛的な音楽を書いた人らしいのですが、この曲はずいぶん親しみやすい音楽です。始めはひそやかにヴィオラに、後には四人にずいぶんはっきりとアイルランド民謡「ロンドンデリーの歌」または「ダニーボーイ」の旋律が出てくると、あ〜、なるほどと思います。ちょっとセンチメンタルな気分になります。

最後は、再びモーツァルトのピアノ四重奏曲で、第2番変ホ長調、K.493です。明るく活発な第1楽章:アレグロ、第2楽章:ラルゲットはピアノから始まる緩徐楽章、やはりピアノから始まる第3楽章:アレグレット。第1番とはいささか異なり、明るく伸びやかな風情が全体を支配します。ピアノ四重奏曲という新しいジャンルを作り、楽譜をたくさん売ろうとしたけれど、第1番は難しすぎると不評で、出版社から契約を打ち切られたのだそうな。別の出版社に依頼した第2番のほうは、少しは対策を考えたのかも知れません。でも内容的にはあまり易しくはなっていないみたい(^o^)/

アンコールは、モーツァルトのピアノ四重奏曲第1番の第3楽章を。やっぱりいい曲ですね〜。ピンクが大好きでピンクの衣装で登場した小林さん、山形Qの男性諸氏にもピンクのハンカチをお願いしたのだそうで、ああ、なるほど、それで硬派の中島さんまで珍しくピンクのハンカチを使っていたのですね! 

さて、次回は第70回定期演奏会となります。期日は2019年1月28日(月)、平日の18:45から、文翔館議場ホールにて、ウェーバーのクラリネット五重奏曲(Cl:川上一道さん)、バルトークの弦楽四重奏曲第4番、伝ハイドン:弦楽四重奏曲「セレナード」というプログラムだそうです。これは楽しみ! さっそく新しい手帳に記入しました。

【追記】
カメラに記録した画像を整理していたら、ちょいと気づいてしまいました。ホールの人も不慣れなのかな。現場のスタッフというよりも担当は事務屋さんなのでしょうけど(^o^)/

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