電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

緩和ケアとは

2020年04月06日 06時01分17秒 | 健康
昨年の秋、ご近所の親族の奥さんが急逝してセレモニーホールが使えず、寺院葬のお手伝いをしたのでしたが、どうも残された夫君が夫人の突然死に心の整理がつかず、元気がないらしいと聞きました。葬儀の前の、茫然自失した様子を思い返すと、気持ちはよく理解できますし、さもあろうと感じます。

肉親や配偶者などの死去は悲しいものではありますが、思いがけない突然の逝去にくらべれば、ゆっくりと衰弱していくガン死は、後からは受け入れられるものなのかもしれません。亡父は原爆症によると思われる消化器系のガンで七回も手術を経験しておりましたので、後は抗癌剤治療しかないとわかったとき、口内炎などの副作用により生活の質が著しく低下する抗癌剤治療を忌避し、「季節の味を食って死にたい」と明言しておりました。本人を交えた家族と主治医との面談では、覚悟の上で「延命治療は望まない、痛い・苦しいはゴメンなので緩和治療を希望する」という希望を申し出て、主治医は「了解しました。必要な治療はさせてもらいます」ということで治療方針が決まり、最後まで看取っていただきました。その点では、後悔はほとんどありません。

むしろ、亡父の経過をみて、今更ながらではありますが緩和治療、緩和ケアという言葉に関心があります。WHO の定義によれば、

WHO(世界保健機関)による緩和ケアの定義(2002年)
緩和ケアとは、生命を脅かす疾患による問題に直面している患者とその家族に対して、痛みやその他の身体的問題、心理社会的問題、スピリチュアルな問題を早期に発見し、的確なアセスメントと対処(治療・処置)を行うことによって、苦しみを予防し、和らげることで、クオリティー・オブ・ライフ(QOL:生活の質)を改善するアプローチである。(国立がん研究センター:がん情報サービスより*1)

というものだそうです。ガン治療中に、病気に伴う痛みや苦痛を軽減できるならば、自分の仕事や人生を整理する時間的な余裕も与えられるだろうと思います。昨年、膵臓ガンで亡くなった同級生の覚悟の最期を思うにつけても、残された者の気持ちは、ガン死のほうが受け入れられ、気持ちの上で昇華されることになるのかな、と思います。

(*1):がんの療養と緩和ケア〜国立がん研究センター:がん情報サービスより

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