≪国場川(どぶ川)にも白鷺が住んでいて、魚を狙う春≫
詩の出版社に興味をもって調べてみました。以下のリストを見たら一目瞭然ですが、昭和26年度に創設されたH氏賞(詩の芥川賞と称される)受賞者や作品、出版社の一覧表を見ると、圧倒的に思潮社ですね。24詩集です。そのほかの出版社はぐっと減って次に花神社(3詩集)、紫陽社(3詩集)他詩学社(2詩集)、土曜美術社出版販売(2詩集)、書肆山田(2詩集)、湯川書房(2詩集)などとなっています。つまり思潮社がなぜか独占企業体制だということがわかります。
自由・平等(機会均等)・表現の自由が好きな者としては、多国籍企業や軍産複合体のように、競合することのない出版の独占的権益のにおいがしてきて、んんん嫌だなーと思ったのですが、みなさんは、どう感じられるでしょうか?インターネット時代に移行する過渡期ゆえに、出版業界は厳しいと思うのですが、しかし日本を代表する詩賞が「思潮社」から数多く選出される、という事は、たとえば選者が意図的に「思潮社」出版の詩集を選ぶ可能性が高いというインサイダー取引のようなにおいもしてきます。わあー、ことば=魂の表出の詩もまた、政治的からくりの中で、仕掛けがあると考えると、まぁー、賞というのも政治だと嘯きたくなります。やれやれ!
つまり何らかの詩賞を目指す詩人は「思潮社」から自腹を切ってでも出版するということになります。田舎の小さな出版社から出された詩集はあまり見向きもされないという現実がそこから見えてきますね。そう考えると、琉球弧はウチナーグチ(琉球諸語)中心の独自の、中央日本に汚染されない文芸賞を身近なアジアやハワイ、太平洋諸国を意識しながら取り組んだ方がいいという事になりますね。台湾とももっと兄弟のように付き合った方がいいかもしれない。福州との共同文芸大賞を設けるとか、つまり中国語(も多様)と琉球語の文芸大賞を設立するとか、などとあらぬ方向に意識がむきますね。
疑似西洋的なハイカラさをもって折衷主義でかといって民主主義の形態も疑似的で、内的ピラミッドを造成する日本という国のありようを反射程に琉球弧は独自の詩の体系なり、ことばの体系なり表現を追及すする方向性も目指したいものだと、妄想しました。
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0063回 平成25年度
石田瑞穂著 まどろみの島/思潮社
0062回 平成24年度
0061回 平成23年度
0060回 平成22年度
0059回 平成21年度
0058回 平成20年度
0057回 平成19年度
0056回 平成18年度
0055回 平成17年度
0054回 平成16年度
0053回 平成15年度
河津聖恵 アリア、この夜の裸体のために 河津聖恵詩集 /ふらんす堂
0052回 平成14年度
0051回 平成13年度
森哲弥 幻想思考理科室 /編集工房ノア
0050回 平成12年度
龍秀美 Taiwan 詩集 /詩学社
0049回 平成11年度
0048回 平成10年度
0047回 平成9年度
0046回 平成8年度
片岡直子 詩集「産後思春期症候群」 /書肆山田
0045回 平成7年度
0044回 平成6年度
0043回 平成5年度
0042回 平成4年度
0041回 平成3年度
杉谷昭人 人間の生活 /鉱脈社
0040回 平成2年度
0039回 平成元年度
0038回 昭和63年度
真下章 神サマの夜 /紙鳶社
0037回 昭和62年度
永塚幸司 梁塵 /紫陽社
佐々木安美 さるやんまだ /遠人社
0036回 昭和61年度
0035回 昭和60年度
崔華国 猫談義 /花神社
0034回 昭和59年度
水野るり子 ヘンゼルとグレーテルの島 /現代企画室
0033回 昭和58年度
井坂洋子 GIGI /思潮社
高柳誠 卵宇宙/水晶宮/博物誌 /湯川書房
0032回 昭和57年度
青木はるみ 鯨のアタマが立っていた /思潮社
0031回 昭和56年度
0030回 昭和55年度
一色真理 純粋病 /詩学社
0029回 昭和54年度
松下育男 肴 /紫陽社
0028回 昭和53年度
大野新 家 /永井出版企画
0027回 昭和52年度
小長谷清実 小航海26 /れんが書房新社
0026回 昭和51年度
荒川洋治 水駅 /書紀書林
0025回 昭和50年度
清水哲男 水甕座の水 /紫陽社
0024回 昭和49年度
郷原宏 カナンまで /檸檬社
0023回 昭和48年度
一丸章 天鼓 /思潮社
0022回 昭和47年度
粒来哲蔵 詩集・孤島記 /八坂書房
0021回 昭和46年度
白石かずこ 聖なる淫者の季節 /思潮社
0020回 昭和45年度
知念栄喜 みやらび /仮面社
0019回 昭和44年度
0018回 昭和43年度
鈴木志郎康 罐製同棲又は陥穽への逃亡 /思潮社
村上昭夫 動物哀歌 /思潮社
0017回 昭和42年度
三木卓 東京午前三時 /思潮社
0016回 昭和41年度
入沢康夫 季節についての試論 /錬金社
0015回 昭和40年度
沢村光博 火の分析 /思潮社
0014回 昭和39年度
石原吉郎 サンチョ・パンサの帰郷 /思潮社
0013回 昭和38年度
高良留美子 場所 /思潮社
0012回 昭和37年度
風山瑕生 大地の一隅 /地球社
0011回 昭和36年度
石川逸子 狼・私たち /飯塚書店
0010回 昭和35年度
黒田喜夫 不安と遊撃 /飯塚書店
0009回 昭和34年度
吉岡実 僧侶 /書肆ユリイカ
0008回 昭和33年度
富岡多恵子 返礼 /山河出版社
0007回 昭和32年度
0006回 昭和31年度
鳥見迅彦 けものみち /昭森社
0005回 昭和30年度
黒田三郎 ひとりの女に /昭森社
0004回 昭和29年度
桜井勝美 ボタンについて /時間社
0003回 昭和28年度
上林猷夫 都市幻想 /日本未来派発行所
0002回 昭和27年度
長島三芳 黒い果実 /日本未来派発行所
0001回 昭和26年度
殿内芳樹 断層 /草原書房