やんばるに用事があったのでガラマンホールのLIVEを拝聴した。国際音楽祭が開催されている。満杯のホールは本物志向の観衆が詰めかけていた。ティグラン・ハマシアン・トリオである。題名はShadow Theatre、で、ピアニストの詩学のような構成である。
アルメニアについてよく知らないが、Tigaranの音楽演奏を聴いて、アニメニアの歴史・伝統・文化の悲哀と喜びと現在が層をなして耳目に入ってきたような気がしていた。ソロで歌唱するその声音が女性の泣き声のような哀愁をもっていたこと、それでいてテンポの速いピアノとベース、ドラムの合奏が現代的な軽やかさで身体をスウィングさせたこと、も事実だった。隣に座している青年は身体を揺らしていた。わたしもだが、途中で立って聞いていた。ジャンプするパフォーマンスも見せた氏は全身でピアノに向かっていた。ジャズとクラシックの融合のようなライブ演奏は、耳に心地よく、時に激しいリズムで押し寄せてきた。怒り、悲しみ、歓び、人間の五感が感じる命のゆらぎ、たゆたゆと漂うもの、それらが限られた時間の中で身体を満たしていく。そのような時間もまた貴重なんだ。来てよかった。謝!
アンコールに応えたソロの演奏は軽やかで細やかなリズムで空間を包んだ。アルメニア、アルメニアの空気が波になって押し寄せていたのかもしれない。見たことも行ったこともないアルメニアがティグランの名前とともによみがえってくるのだろうか。