35分と短い新作組踊である。あらすじは詳細に記述されていたが、詞章はエキスのきらめきで聞得大君の美しさとその数奇な運命の悲しみが漂っていた。「あの世までともて 契さる里と 渡て行く浮世一期されめ」
流された大和で樵夫と愛しあって過ごした王女はたっての琉球国の使者たちの願いを受けて戻ってきた。義務と愛情に引き裂かれたに違いない大君は職名を廃し与那原に庵を結んでそこで乳母と住んだ。あの世までの御縁と誓った男への思慕の念が王女の踊と歌・三線で表現される。別れの痛み、断念した愛する里への思いの深さ、それらの苦悩がシュドゥンや野波節などの女踊のふりを取り入れた女踊の魅力で惹きつけた。幻想の中に登場するクールな樵夫と二人の軽快な踊が「中作田節」でさっと踊られる、まるで夢そのもののような瞬間の幻想はあっと消え去る。浜千鳥の鳴き声を聞きつつ昔を偲び胸焦がす王女の姿、その中でひたすらにかつての愛を縁に生きた女の宿命の哀れさ、つつましさ、悲しみが幻想的に幕を降ろした。
(聞得大君役の宮城愛美さん、お名前の通り美しい女性)
与那原町はもっといい劇場を持つべきだね。沖縄県は与那原町に県立郷土劇場を設立したらどうなのだろう!伊良波尹吉は与那原に劇場を持っていた。もっとステージが低く、戦前の面影の残るスタイルの芝居小屋がほしいね。
ところで、身重で戻ってきた聞得大君は無事赤子を産んだのだろうか?それとも航海の疲れで赤子は此の世に生を得ることができなかったのだろうか?あらすじで気になったことは舞台でも明らかにはされなかった。おそらく新しい命は誕生しなかったのだろう。なおのこと王女の悲哀がます。連ねも孤独な叶えられることのない願望が歌唱された。
(のろの女性たちに励まされる王女)
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その後で女優の吉田妙子さんと當間正幸コレクションの展示を見たが、どうも聞得大君の大きな金の簪は頭の後から前へと差すのが戦前の習わしだったようだが、現在、従来の衣装や髪結いも含め、大和風の同化が激しく続いた痕跡が読み取れる。その写真とイラストが當銘さんのところにあったのでそれもUPしておきたい。
バサー屋は午後10時までですね。
沖縄の葬服展(首里、那覇、ヤードイ、異なる柄)):一見の価値があるコレクションである。首里の葬服は柄が大きく、那覇は細やかである。また必ず厄除けの光沢がちりばめられている。風雅な葬服である。歴史・文化のたたずまいがそこに見られる。百姓には特別そのような葬服はなかったという。琉球・沖縄の身分制度の残滓がそこからも見えるが、システム中で扮装もまた差別化されてきたのである。琉球文化が衣装から見えてくる貴重な展示をぜひ多くのみなさんにご覧になっていただきたい!沖縄芝居女優で映画でもおなじみの吉田妙子さん行きつけの(むつみ)食堂の角に《バサー屋》はある。當銘さんは億単位の優れた琉球・沖縄のコレクションを持っておられる方で、これらの琉球の大切な文化遺産が他府県に渡っていくことがないよう、県や市は買い取って工芸館や博物館で保存・継承してほしいものだ。芸大などはどうなのだろう?様々な織物のコレクションも600点以上に及ぶとうかがった。目を見張るひと時、気が付くと、お話に1時間以上も耳を傾けていた。
那覇市長にはぜひご覧になってほしいですね。一括交付金で買い上げることはどうだろうか?などと思っていました。沖縄市は工芸館を創設したようだが、當銘さんからお借りした花織などを展示したようですが、もっと貴重なものをどう守り継承していくか、考えてほしいものです。
當銘さんは熱心にお話してくださる方だ!
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