蟻の棲み家 望月涼子
ブックオフでお勧めにあったので買ってみました
女性の著者なのが気になりましたが読んでみました。
男性と女性では感性が違うので、同性以上にあうあわないがありますね
文体一つとっても、合わない人います。
今回はどうでしょうか?
ストーリー
主人公の雑誌記者、木部美智子が東京中野区で起こった殺人事件に迫ります。
冒頭、東京下町の小便が匂うような貧民街から物語が始まります。
吉沢末男は、シングルマザーの元に生まれ、妹の面倒を見て育つのですが
母親は、売春で男を引っ張り込むのが唯一の収入源。
DVの母親から妹を護り、まじめに生きようとする末男であったが
世間の風は冷たく、末男を翻弄する。
下町の弁当会社の工場長のもとに、弁当に異物が混入していると
クレーマーが脅迫におよんでいた。
その事件を取材する木部美智子。
クレーマーは、工場に務めるパートの娘、愛理とチンピラ海人であったが
その裏で、慶応大学の長谷川翼が愛理と海人を操っていた。
翼は、裏カジノで借金を重ね闇金から追われていたのであった。
弁当会社の恐喝くらいでは借金を返せない翼は、焦っていた。
ある日、東京下町で売春婦2人が銃殺されるという事件が発生。
犯人は、大手菓子メーカーを脅迫します。
3人目の被害者を出したくなかったら2億払えと。
ぐれていた末男は、街中で妹の友達であった愛理と出会います
愛理に誘われるまま、翼のマンションに逃げ込みます。
翼と末男は共謀し、菓子メーカーの脅迫を計画したのでした。
そんな中、川の土手で海人の死体が見つかります。
稚拙な脅迫事件で警察は、すぐに弁当工場の恐喝との関連を見抜きます。
末男、翼、愛理が警察に逮捕されます。
警察は、売春婦と海人を殺したのは、末男か翼か?
取り調べをすすめます。
かたや、記者の木部美智子は、弁当会社の恐喝事件から
事件の登場人物の詳細な過去を洗い出していきます。
弁当会社の工場長、パート従業員、娘の愛理、
末男の妹、被害者の売春婦、翼の家族
過去をたどると一つの線が見えてきました。
それは警察が追っていたものとシンクロするはずだったのですが・・
とまあこんな感じ
本の帯には、大どんでん返しのロワールミステリーとありますが
たしかにどんでん返しがありました。
しかし、しょうもないミステリーにありがちな
どんでん返しを目的にした、叙述トリックを駆使して
実は、犯人はこいつでしたみたいな
作者のやってやった感のある3流作品とは違いました。
どんでん返しには、そんなおおきな意味はありません
この作者は、一旦歯車が狂った底辺にうごめく人間は
絶対に這い上がれない現状を伝えたかったように感じます
貧乏人は、一生貧乏人なんです。一発逆転なんかありえない。
そんな蟻の棲家でうごめく底辺の人間を描いてます。
それは、良いのですが
いかんせん、読みにくい文体です
簡単に言うと、ええ格好しいの文体。
イキって格好いい、頭のよさげな文章を書こうという
作家の自慢げな顔が、思い浮かんでげんなりします
普通の文体で書けばいいのに
自分を頭がいいように見せたいんでしょうね
ということで、女の作家とは波長が合わないという
ジンクスを打ち破ることができませんでした。
ストーリー自体は面白かったですよ。
一読の価値はあるかもです。