(1)大統領は国民から選ばれれば誰でも大統領だが、政治家は違う。思想、信条、理念のもとに国家、国民、社会、世界のために寄与、貢献することが求められている。2月28日のトランプ大統領とゼレンスキー大統領の首脳会談はともに大統領ではあっても政治家ではない2人がプーチン大統領、ウクライナ停戦を巡って報道陣公開の前で激しい言い争い、批判をくりひろげた。
(2)米国はすでに民主主義を見失い、政治はディール(取引)としか考えない。ゼレンスキー大統領もトランプ大統領が興味を示すウクライナ埋蔵量の多いレアアース共同開発合意による米国のウクライナ支援継続を取り付けるディールのためにホワイトハウスに出向いた。
28日の米、ウクライナ首脳会談では途中同席していたバンス副大統領が会談に割って入り、外交の重要性を説いたといわれる。
(3)ゼレンスキー大統領にとっては米国副大統領から外交の重要性を言われ、副大統領に発言の真意を質すとバンス氏が「失礼だ」(どちらが失礼なのか)と批判した(報道)といわれる。ゼレンスキー大統領としては首脳会談中に同席していたバンス副大統領に外交を説かれて見下されていると思ったのか、バンス氏はさらに「あなたの国を救おうとしている米国と大統領に感謝の言葉を述べなさい」(同)となって、よりによって米国副大統領からたしなめられては堪忍袋の緒が切れた。
(4)その後は「取引をするのか、我々が身を引くのか」と迫るトランプ大統領と言い争い、批判の応酬になって、レアアース合意文書の署名、共同記者会見、昼食会がすべて中止となり首脳会談はご破算に終わった。
(5)大統領ではあっても政治家でない2人が口を挟んだ副大統領まで巻き込んで報道陣の前で公開で言い争いをするという無礼講で、民主主義を見失った米国の自由主義だけは無礼講で残った見守った世界にはありがたい情報公開のてん末となった。
(6)以前、日本の欧米政治学の大家から国民がああいう人(ゼレンスキー氏)を大統領に選ぶから戦争するといわれ、こちらはSNSで自らを王様と呼び世界を関税主義で従わせてレアアース提供のもとにウクライナ停戦と引き換えにディールするという政治論なく、冒頭述べたようにあからさまにご破算となった。