(1)英国のエリザベス女王といえば今年で即位70年を迎えて、慣れ親しんだ「エリザベス女王」の醸し出す歴史の尊厳、華麗、親しみに英国の伝統性を感じさせる。日本では皇室、天皇は政治には直接関わらないが、英国国王、女王は加、豪、南アなど英連邦(common wealth)54か国の「元首」として君臨する存在だ。
(2)英首相は週1回女王と会談をする。その内容については公表されない(報道)。英王室は「女王は政治的に中立ですが、必要に応じて首相を含む閣僚に『助言および注意』をすることができる」(同)と説明する。
英首相として「鉄の女」と呼ばれたサッチャー元首相は女王との会談について「社交上の儀礼に過ぎないと考える者がいたら、それは完全に間違いです。」(同)と現在の情勢について深く理解していることを証言している。
(3)報道によると当時サッチャー首相がアフリカへの関心が遠のいた時に、南アのアパルトヘイト撤廃に向けてエリザベス女王が働きかけてネルソン・マンデラ氏(後の南ア大統領)の釈放(90年)、アパルトヘイト撤廃(91年)につながったといわれる。
(4)日本では前天皇(上皇)が生前退位をして皇太子に天皇を移譲したが、エリザベス女王は96才の高令で最近では公務も欠席することもあると伝えられて体力的な衰えもみられるが、チャールズ皇太子に国王を譲ることができない理由が垣間見える英女王の存在感が読み取れるものだ。
(5)エリザベス女王の即位70年の記念祝典行事(platina jubilee)が6月2日~5日ロンドンを中心に開催されて、多分P.マッカートニーさんも参加してエリザベス女王に祝いの歌を披露するのか楽しみだ。
(6)今ヨーロッパ、EUは露のウクライナ軍事侵攻で露からの石油、ガス供給を停止、禁止する制裁対応に迫られて、英国ではそのEUからの離脱で政治、経済、軍事で困難な時代を迎えており、エリザベス女王即位70年の記念祝典行事がヨーロッパ、EUさらに露に対して変化、心のゆとり、調和外交をもたらすものになるとすれば幸いである。
(7)大英帝国の栄華の象徴でもある英王室の対極として、帝国陥落後の英国にビートルズが登場して世界的な音楽革命を起こしてビートルズの4人がエリザベス女王から上流階級社会の「サー」の称号を受けたのは皮肉でもあるが、英国が政治、経済、平和の壮大な実験場のEUに留まれない帝国懐古主義の呪縛につながる。