(1)自民党旧安倍派の裏金還流(キックバック)問題は衆院予算委員会の安住委員長、理事が裁判で有罪判決を受けた当時の会計責任者から非公開で参考人事情聴取を実施した。石破政権としてはこの問題での野党の要求をのまなければ予算案審議にも影響することから、一旦事情聴取を拒否した会計責任者が非公開で応じることになった。
(2)政治資金規正法では政治資金収支報告書の管理責任者は会計責任者にあり、方針を決める政治家、派閥幹部議員には責任は及ばない。会計責任者は自らの責任で誤った記載報告をすれば(したといえば)ミスで修正申告をするし、派閥会議での幹部議員の方針決定は表に出ることはないのでつまりは誰も責任をとらない仕組みだ。
(3)今回の裏金還流問題は政治資金収支報告書にパーティ券収益を記載せずに当該議員に裏金として還流した問題で、ミスではすまされない。当時の安倍派幹部議員は一様に裏金還流問題にはかかわっていないと弁明して、政治資金規正法上の記載責任者である会計責任者が有罪判決を受けた。
非公開の参考人聴取で会計責任者は裏金還流を進言したのは派閥協議に参加した「現職でない人」とだけあきらかにした。
(4)この問題は野党筆頭理事の立憲山井議員が「意思決定した旧安倍派幹部が批判されず、幹部の意思決定で言われるままに仕事をした(会計責任)者だけが罪に問われるのはおかしい」と言うように国会が決めた政治資金規正法の仕組みに問題があり、これまで安倍1強、自民衆院3分の2以上の勢力図で放置されてきた問題でもある。
(5)政治とカネの問題は自民党長期政権時代からの既得権益、利益独占政治の汚職、疑惑につながる政治課題であり、解決には向かわない古くて新しい今日的政治問題だ。と同時に国民有権者の判断、審判の問題でもある。
裏金問題を受けての石破首相による解散総選挙でも旧安倍派議員で審査会で意見聴取を受けた幹部議員たちは、無所属で立候補して再選を果たしており、国会、議員の政治資金収支報告書の仕組みに問題がありながら批判はしても選挙区の事情で問題当事者としての議員を支持するという矛盾だ。
(6)衆院予算委員会も会計責任者の参考人聴取をしてみても、すでに裁判で有罪判決を受けておりこれ以上新しい事実が出てくることはなく、国会の機能だけがどれもこれも半端で(incomplete)政治資金規正法は議員責任など一応改正されたが政治課題が解消されたとはいえない。