(1)24年米次期大統領選には一時民主党バイデン大統領も健在ぶりを示して再選に意欲をみせたことはあったが、現在79才の高令で健康にも問題はあり、外交、内政でも課題を多く抱えて国内支持率も低下しており国民の期待は上がらない。
(2)共和党では現在76才のトランプ前大統領も辞任後初めて首都ワシントンに入り(報道)次期大統領選に意欲をみせているが、大統領時代に連邦議会襲撃事件を煽動したことが議会公聴会でも調査が進んでこちらも国民の6割が次期大統領選出馬を望まない(同)としている。
(3)すでに民主党、共和党内では有力な次期候補者の州知事の名前があがっている(報道)が、米国大統領予備選は1年以上をかけて全州で実施されて先行型は途中息切れが目立ち、思わぬ候補者に支持が集まり抜け出すということもめずらしくもない。
(4)やはり1年以上の長期戦となれば当初の注目政策、理念だけではあきられて勢いを維持することがむずかしく、満を持して国民の動向を見極めて登場する候補者が頭角をあらわす傾向はある。オバマ大統領、バイデン大統領は当初は有力候補者ではなかった。
(5)こちらは数か月で党代表、首相を選ぶ短期決戦型の日本政治では、昨年当時の菅首相、自民党総裁が次期総裁選に立候補しないことを表明して、これにすぐ一足早く総裁選立候補を表明した岸田元政調会長がそのまま先行して主導権を握り、安倍元首相が自らの安倍派所属でない自分の理念、思想、考えに近い高市早苗政調会長を擁立するなどした中で岸田総裁、首相が誕生した。
(6)安倍元首相が自らの自民党最大派閥でない高市政調会長を擁立したことで安倍派が結束できずに苦杯をなめた。安倍元首相の政治感覚、理念には一種独特の感性がみられ功罪両面があり、時宜をみる能力はあったと思うが晩年は独断専行がすぎて罪の方が多かった。
(7)日米の違いは大統領制と議院内閣制の政治体制の違いによるものだが、1年以上も時間をかけて選んだバイデン大統領支持率がその後低迷して、短時間で国会で選んだ岸田首相の(内閣)支持率が比較高いのは皮肉だ。
(8)岸田首相は当初は新しい民主主義、成長と分配の好循環を目指す理念を示しながら、安倍元首相の影響力の中で成長論のアベノミクスに移行して党内からも「何もしないのが、岸田内閣支持率の高さ」(報道)という皮肉な評価もあり、世界的な石油高騰、急激な円安による軒並みの物価高で経済対策が追い付かずに岸田首相の目指す厚い中間層実現の理念はまるで見えてこない。