(1)今やGDPは実体経済(ontologic economics)を代表しないとの指摘はあるが、デジタル時代、社会は生産力、消費力だけでは経済を推し量かれないというものだ。
財務省発表の23年貿易統計で23年の輸出が100兆8800億円で統計史上初めて100兆円を超えた。円安効果で国内でも物価高で企業利益が好調となり、その分大規模物価高騰で国民生活、消費者に大きな負担、しわ寄せとなった。
企業の500兆円超とみられる内部留保はさらに積み上げられるものとみられる。
(2)今年の春闘が事実上始まり、連合は「5%以上」の賃上げを目標としており大企業では「7%」の賃上げを検討する企業も多く、政府が賃上げ企業の法人税を大幅減税(25~30%)する「賃上げ促進税制」が後押しして物価上昇率を上回る賃上げ実施を目指す。
株価も東証で一時3万7千円台に迫る高値を更新しており、年明けの株式市場の株高を維持している。
(3)数字だけをみれば景気のいい話が多く、物価高の国民には実感がわかないが、日銀の大規模金融緩和継続で円安物価高を招いて、企業には物価高を上回る賃上げを求める法人税大幅減税をするというのもデフレ脱却のためとはいえ政府の屋上屋を架す(原因をつくってその対応に追われる)というおかしな政府政策の順繰りに振り回されている感はある。
(4)政府、日銀は物価上昇と賃上げの好循環、良好関係を目指しているが、利益率の高い大企業が優先して相場を決めて雇用全体の7割を占める中小企業には「賃上げ促進税制」の効果(税制は赤字企業には法人税免除)も限られて、中小企業の価格転嫁を含めて成長と分配の好循環をどう実現していくのか日本経済全体の成長と安定には欠かせない。
(5)コロナ社会での融資の返済を迎えて企業倒産も増えており、経済のインバランスにも配慮が必要だ。日本経済は数字の上では好調をキープしている実体、実感のない計算上の抽象的な(abstract argument)経済好調にみえて、日本社会は能登地震被害に政治の自民党派閥パーティ券裏金問題で新年始まりから深刻さを増しており、浮足立っている。