少年時代の一時期、10万石の格式の大寺に出された、住職の夫人は芸者出身、鉄火な気性で、フツウのオトコでは対処できなかった、それに大酒のみ、目の前で、
「ゴクリ ゴクリ」
坂の下の店まで買いに行かされた、9歳の子供には一升ビンは重い、ひったくるように受け取り、
「グビリ グビリ」
そして、クチビルに指を当て、
「御前様には ナイショだよ」
もどってくるとまたお使い、 思わず、
「なぜ 一度に言ってくれないんだ」
すると、
「それもこれも おまえの修行のためなんだよ」
当時、シャケの切り身は7~80円、東京のデパートで買った5~600円のヒトキレをネコにやっていtる、
「ネコは ものが言えないからかわいそうなんだ」
そんなもんだろうか。
御前様が亡くなると寺を追い出された、その後、どうなったんだろう。