シカゴの先物取引所の開設が1848年、その118年前にはるか離れた東海の島国に、すでに、このシステムが運営されていた、それが、1730年の大坂堂島の米会所。
火を吹くやり取り、時刻になっても止めない、水をぶっかける、それでも止めない、売り値と買い値の真剣勝負、おとことおとこ、いのちといのちのやり取りだ、これは、もう近代、近代人の誕生だ。
決定した価格は旗信号で伝えられる、10数キロが1単位、だから、あっという間に京都に到達、
あか上げて しろ上げない
あか上げないで しろ上げる
「あっ まちがえちゃった」
そんな時の取り決めはあったんだろうか、そして、東海道をかけ上がる、光通信ならぬ旗通信、どうですか情緒があるでしょう、
大津ー四日市ー岡崎ー吉田ー浜松ー掛川ー藤枝ー丸子ー蒲原ー沼津ー三島
ここまでは順調だが、旧道から箱根へ、峩々たる山が行く手をさえぎる、そこで、man power の登場・飛脚の出番だ、
白いふんどし キリリとしめて
箱根の山を かけ上がる
エイホー エイホー エイホー
肩の上には 紙いちまい
これほどかーるい ものはない
白いふんどし キリリとしめて
箱根の山を かけ下りる
エイホー エイホー エイホー
肩の上には 紙いちまい
これほどおーもい もんはない
「おもい」というのは、この紙の数字で江戸の米価格が決定するからで、一枚の紙が江戸の祭政経済を左右することになる。
小田原からはまた旗信号、
あか上げて しろ上げて
しろ上げないで あか上げる
小田原ー大磯ー平塚ー藤沢ー戸塚ー程ヶ谷ー神奈川ー川崎ー品川ー日本橋
あっという間の日本橋、大江戸の米の価格が決まる、だから、当時の江戸の経済システムには注目すべきものがある。