ロシアの昔話 「 ゆきむすめ 」の おはなしです
おじいさんと おばあさんが おりました
二人には子どもがなく それを寂しく思っていました
ある冬の日 窓から 子どもたちが雪で遊ぶのを見て 自分たちも外に出て 雪で女の子をつくろうと思いつきました
手をつくり 足をつくり 顔をつくりました
きらきら輝く氷のかけらが 目になりました
出来上がった「 ゆきむすめ 」は なんと可愛いことでしょう!
おじいさんと おばあさんは うっとりと眺めました
すると 突然 ゆきむすめが にっこりと笑いかけ 手を上げ 一歩二歩と 雪の中を歩き始めたのです
おじいさんと おばあさんは びっくりするやら 喜ぶやら・・・
ゆきむすめは ぐんぐん大きくなっていきました
日ごと 賢く 美しくなりました
おじいさんと おばあさんは 目に入れても痛くないほど ゆきむすめを可愛がりました
やがて 冬が去り 春がやって来ました
雪が融け去り 凍っていた小川は 音を立てて走り始めました
子どもたちは 外を嬉しそうに走り回りました
けれど ゆきむすめは 元気なく 家に閉じこもっています
「どこか具合でも悪いのかい? それとも 心配事でもあるのかい?」と おばあさんが訊いても 黙って首を横に振るばかり
空に黒い雲が走り 寒くなる時だけ 嬉しそうでした
やがて 短い春が終わり 夏になりました
女の子たちが ゆきむすめを誘いに来ました
「森へ遊びに行きましよう!」
「暑いわ! お日さまが怖いわ!」
ゆきむすめは 断りました
でも おじいさんと おばあさんに勧められ 仕方なく出かけました
森で 女の子たちは 楽しそうに 花を摘んだり 花輪を作ったり・・
でも ゆきむすめは 日陰で 冷たい小川の水に足を浸し じっと 陽が沈むのを待っていました
夜になると 女の子たちは 枯れ枝を集め たき火を始めました
そして 「たき火越え」という遊びを 思いつきました
一人が たき火を跳び越えました
二人 三人 四人目も 跳びました
「さあ あなたの番よ」
ゆきむすめは 後じさりしました
「怖いの? 跳べないの?」
女の子たちは みなで ゆきむすめを笑いました
ゆきむすめは 思い切って 跳びました
ゆきむすめは いったい 何処へ 行ったのでしょう?
たき火の上に ただ ひとすじの湯気が ゆらゆらと立ち上り まるで 空の上の雲を追いかけて行くように 上へ 上へと 昇って行きました
*** 以前撮った写真です ***