11月28日(木)のNHK“クロ現”(“クローズアップ現代”の略)は、映画監督の≪大林宣彦氏≫(現在81歳)の、ここ2,3年の姿を伝えて
いた。
大林監督は3年前、ステージ4の肺がんを発症、余命半年と宣告された。(下の写真は、肺がん発症を報告された時のもの)
NHKは、余命宣告を受けながら映画製作に情熱を傾ける大林氏の生き様を追おうと、2年前から密着取材を始めたのだそうだ。
まず、番組の初めの方で、近所に散歩に出られた大林さんがふと漏らされた次の言葉が、私の胸に深く響いた。
下に生えている雑草を見ながらカメラマンに向かって‥
「これは僕たちは草だと認識しているんだけれど 命に見えてきたのね」
「みんな命なんですよね 当たり前のことだけど。 僕たちは人間語を使うから 人間語ではこれは命ではなく草なんですよ。 しかも
雑草なんですよ、踏んづけてもいいんだけれども」
死の宣告を受けた大林さんは、闘病生活を送りながら、今までずっとシコリのように心にあったテーマ(日本の過去の戦争と、平和の問
題)に取り組み始められる。
そのきっかけになったのは東日本大震災であり、今の日本と世界の現状に対する、次のような憂いからだった。
大林監督はかつて、黒澤監督と次のような会話を交わしたのに、未だにその約束を果たせていないことを、気に掛けられていた。
そして自らの命の限界を自覚されたとき、「平和の願い」を若者に発信する映画の制作を決意され、それが、先月44本目の新作となって
完成した。 (久々にふるさと尾道を舞台にした、「海辺の映画館ーキネマの玉手箱」)
この映画に(前作にも)出演した≪満島真之介さん≫は、「撮影を通じて、大林監督の思いをしっかり受け止めることができた。」と語られ
ている。(下は、役の扮装で大林監督について語る満島真之介さんと、撮影後、大林監督から満島さんへ送られたサイン。)
満島真之介さん
<サインのことば>
ひとは ありがとうの 数だけ かしこくなり
ごめんなさいの 数だけ うつくしくなり
さようならの 数だけ 愛を知る
念願だった映画の制作が終わり、クローズアップ現代の放映からも、半月が経つ。
今、大林監督はどのように過ごされているのだろう。 体調はどうなのだろう。
思いは尽きないが、最後に、映画の制作が完了したあと、ふるさと尾道で写されたご夫妻の素敵なスナップ写真を載せたいと思う。
そして、大林監督の思いを忘れないこと、私もすべての命を大切にし、日本がふたたび戦争への道を歩まぬように微力を尽くすことを、
心に誓う。
大林監督の44作目の映画は全国的に上映されるかどうかは分かりません(私も上映されたら見たいを思っています)が、監督の中でずっと心の澱になっていた戦争のことを、若者に託す形で描かれ完成までこぎつけられたことは、素晴らしいと思います。