ぬえの能楽通信blog

能楽師ぬえが能の情報を発信するブログです。開設16周年を迎えさせて頂きました!今後ともよろしくお願い申し上げます~

建長寺探訪記(その4)

2007-05-17 03:18:28 | 能楽

鶴岡八幡宮の広大な社域には「鎌倉国宝館」が建てられていて、ここの展示はすばらしいものでした。建物に入ってすぐに目に付く釈迦三尊像や、建長寺の向かいにある円応寺の有名な冥王十像(閻魔像は伝運慶作)の一つ初江王像、そして光明寺蔵の当麻曼陀羅縁起図(国宝)には目を奪われます。ちょうど今、特別展「鎌倉の至宝 ―国宝・重要文化財―」が開かれていて、建長寺蔵の国宝・開祖蘭溪道隆の図像と遺墨も並べて展示されていました。この特別展は、巨福能が開催される6月3日が最終日だそうです。お時間のある方はぜひ見学される事をお勧めします。

鎌倉国宝館ホームページ

ここから八幡宮の外に出て、10分ほど歩いたところに源頼朝の墓があります。小学校の裏手、小さな山の中腹にある頼朝の墓は、鎌倉幕府という日本史の一大事業を成し遂げた人物の墓としてはあまりに小さなものでした。『仲光』のツレの源満仲から連綿と連なる清和源氏の諸氏によって何度か修復は受けたそうですが。。鎌倉という土地は、京都や奈良と比べて複雑な歴史を辿ったのだろうな、と ぬえはこのあたりから感じ始めました。



でも、現代に至ってからこの墓は大切に守られています。墓に至る小山への石段の手すりにも源氏の紋所である「笹竜胆」の図があしらわれていました。



この源氏の紋は能でも腰帯によく使われます。さすがに『屋島』には合いにくいように思いますが、ぬえの師家では『船弁慶』の子方の腰帯によく「笹竜胆図」を使いますね。ちなみに対する平家の紋は「揚羽蝶」。こちらは『船弁慶』『敦盛』などの腰帯に頻繁に用いられます。

朝から北鎌倉の駅より歩き始めた鎌倉散策もさすがにだいぶ足に効いてきて、鎌倉駅まで歩いてからはバスを利用して鎌倉大仏に行きました。ぬえは東京に生まれ住みながら、この有名な鎌倉大仏を見るのはこの日が初めて。(^^ゞ 野天にさらされている大仏はやっぱり不思議な存在感ですが、季候の良い時期に訪れたので大仏様も気持ちよさそうでした。真夏や真冬には瞑想もつらかろう。



最後に長谷寺に参詣して、本日のお宿に投宿しました。長谷寺からの見事な眺望。でも鎌倉に来て、ここでようやく海を見ました。お宿は海岸沿いだったので、突然山の中から海辺に連れてこられた風情です。しっとりした新緑の山と、ウィンド・サーフィンで賑わう海岸と。二つのまったく違う世界が交わらずに同居している、鎌倉はそんな不思議な場所だなあ。



この夜は、北鎌倉に住む ぬえの叔父とお会いして、深夜まで鎌倉で飲みました。我ながら、まあよく一人で長谷駅から宿まで帰り着いたものだ。(^◇^;)

<今日のお題>

鎌倉大仏のお背中に明かり取りの窓が開けられていたとは。



。。でも後ろから大仏さまを見た印象は。。

「オバQ」。。バキッ!!(-_-)=○()゜O゜)アウッ!