来月 ぬえは鎌倉・建長寺で行われる巨福能にて『隅田川』を勤めさせて頂く事になりましたが、このたび建長寺さんへ会場の下見をかねて参拝に訪れました。
じつは ぬえは。。鎌倉というところは行ったことがないのです。。これほど日本文化を熱く語るのに、鎌倉はぜんぜん知らないという大馬鹿者でして。不思議だなあ、これまで縁がなかったのか。京都や奈良にはしょっちゅう行っているのに。。そこでこの機会に建長寺さんに参拝してご本尊にご挨拶申し上げ、また催しの成功を祈念してご祈祷を受ける事にして、さらに鎌倉に一泊してひと通り見て回ることにしました。
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JRの湘南新宿ラインを利用してわずか1時間半で到着した鎌倉は、天気にも恵まれて、とっても楽しい旅になりました。早朝に家を出たせいか心配していた湘南新宿ラインは混雑もなく、まだ朝早い時間に北鎌倉駅に着きました。まず駅のすぐ目の前にある鎌倉五山第二位の円覚寺から参拝しましたが、いや本当に風情のあるお寺です。新緑は目にまぶしくて、境内にはリスも遊び、国宝の梵鐘のある鐘楼からははるかに富士山まで見はるかし。北条時宗の廟所にも参拝することができました。そしてこんなものまでも発見。
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国宝のところてん。。 (;^_^A
ついで訪れた明月院は『鉢木』のワキ、最明寺入道こと北条時頼がその最明寺を構えた地で、こちらには時頼の廟所も残っています(そのすぐ背後が住宅で、少々気の毒にも思いますが。。)。こぢんまりとした白砂の枯山水や、紫陽花の頃には参道を紫の花が埋め尽くす美しい山門、丸窓から庭を眺める粋な造作の方丈。小川にかかるアスレチック風(?)の橋もあったりして、清楚ながら遊び心もあるお寺でした。
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さて明月院で過ごしているうちにご祈祷を受ける時刻が近づいてきたので、いよいよ建長寺に向かいました。北鎌倉駅から直行すれば10分で到着する建長寺は、まさに堂々たる大伽藍で圧倒されます。道路に面した大きな門をくぐり、総門という「巨福山」の額を掲げた門を入ると、向こう側に大きな門がさらに一つあり、これが建長寺のシンボル的な三門。これまた大きな「建長興国禅寺」の額を掲げています。面白いのはその右側にある鐘楼で、名鐘として名高く、狂言『鐘の音』でも鎌倉で一番の鐘と評された国宝のこの鐘を納める鐘楼は、なんと藁葺きの質素なものでした。
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さらに進むと建長寺のご本尊の地蔵菩薩像が鎮座する仏殿へと至ります。お地蔵さまがご本尊というのは珍しい。なんだか柔和なお顔の親しみやすい仏さまで、どことなく中国風の香りのする荘厳と不思議な調和をもっています。そして仏殿から左に回り込むと、正面に今回の「巨福能」の会場となる方丈(「龍王殿」)が見えてきます。う~む、こんなに立派なお寺だったのか。。俄然緊張する ぬえでした。。