
もうすぐ終わるこの冬にも、入笠にはたくさんの人が来てくれたようだ。天気の良い日の山頂からは、富士、八ヶ岳、さらに南、中央、北の各アルプスと、第1級の冬山の展望を楽しむことができる。ゴンドラを利用すれば、最終駅からなら30分ほどで登山口に着き、そこからはよほどのことがない限り、さらに30分も登れば山頂に着く。しかも登山口までは「山彦」、「マナスル本館」の両山小屋も営業しているから、何かあった時には心強い。また、積雪があってもたくさんの登山者のお蔭で、踏み跡はしっかりとしている。冬山の情景を楽しみ、探るだけならだけ人を選ばない、誰でも受け入れてくれる山だ。
しかし、厳冬期の2千メートル級の山が、どこも入笠のようだと思ったら、それは大変な間違いだと言っておくべきだろう。ワカンやスノーシューズ、アイゼン、スキーは降雪のあった直後を省けば、この山ではほとんどあっても無くてもよい、余分な衣装のようなものである。だから、少しばかり足回りをおろそかにしても、大事にいたることはなくて済んでいる。ところが、あまり人の入らない2千メートル級の山ともなれば、とても入笠の冬山体験をしたくらいで通用するとは思えない。
例えば谷川岳は極端な例かもしれないが、あの山も2千メートルにはわずかだが届かない。東京都で最も高い雲取山は、三条の湯から行けばそれほどのことはないが、それでも入笠よりも登行距離は長いし、悪場もある。入笠山の近くの釜無山でも、冬季はまだ行ったことはないが、天候や積雪の状況によっては、冬山ならではの苦労を強いられることもあるだろう。冬の上高地にしてもまたしかり。
入笠山で見掛ける人たちの外見の身なり装備は立派で、過分と思えるような人さえいる。しかし、目に見えない衣料品である肌着、靴下などに無頓着であったり、意外と貧弱な靴を目にすることもある。冬山にふさわしい知識と注意が必要だと言っておきたい。特に里で好評の化学繊維の中には、冬山には不適というよりも、危険な衣料品もある。
光の明度が上がる、3月の入笠牧場が待っています。3月の3,4日は約1名様の雪上講習を兼ね上にいます。人数にはこだわりませんが、要予約。
営業については以下をクリックしてください。「冬季営業の案内(’17年度」は、前年のものを流用している部分もあって、段落や改行がおかしく、見苦しいかも知れませんが何卒ご容赦を。