昨日の朝の雪も夕暮れが近付いてきたら、ミズナラの根元に白い影のように残るだけになった。紅葉と雪の景色を何枚も撮っては見たが、やはり実際に眺めた景色には及びもつかず諦めた。
都会では朝の気温が10度以下になったという。例のごとくテレビはマフラーやコート姿で通勤する人たちの様子を伝えていたが、子供の擦り傷程度の怪我を大騒ぎする母親のよう、極北の荒海で働く人もいれば、熱砂の荒野に暮らす人もいる。
かく言う自分もつい叫んでしまったが、その分修行不足を反省しつつ冬空を思わす曇天の下、刈れば刈るほど執拗に生えてくるカヤだかススキだかと一日を闘った。
きょうはまた快晴の秋空が戻ってきた。午前7時半で気温は丁度零度になっていて、夜の間はそれ以下だったのだろう、流し台のスポンジが凍っていた。
水道は何とか復活させた。それ以降、小屋の内外、10数個のカランの殆どは今も終日水を流しぱなしにしている。これで、少しぐらい気温が下がったとしても大丈夫だろう。冷たい水を使っての炊事ぐらいは我慢できるから、せいぜいエンゲル係数を上げて美味い物を食べることにする。
ここの自然の美しさがここで暮らす最大の魅力だが、やはり仕事を終えて酒を飲むこと、食べることはその次に来る。人は死ぬまで食欲と性欲は消えないということだが、後者は肉体の衰えとともに次第に観念的になっていく。その分、かどうかは分からないが、食べることは衰えを知らないようで、このごろは米の消費が増えた。
昨日ヘマをして、作り置いた鍋一杯の豚汁をひっくり返してしまった。まな板を床に叩き付け自らを叱ったが「覆水盆に返らず」、気を取り直しチゲ鍋に挑戦し、それを食した。今度はカキも忘れなかったし、キノコも入れた。酒は熱燗1合半とビール500㏄1本、それにウイスキーのお湯割りを飲んだ。
暖かい家庭があり、一日の労働を労ってくれる家族がいるわけではない。しかも、人気のない山の中。そうであれば、夕餉を愉しむ孤独な団欒における女房や娘の代わりは、適度の疲労感と安堵、それに幾らかの酒と食物である。
中でも適度の疲労は快感を高めるために絶対必要で、そのために肉体労働をしているようなもの、趣味に近いと言っても差し支えない。
古来稀なる年齢を過ぎた身、もう何も変えない。
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本日はこの辺で。