入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

    ’17年「秋」 (12)

2017年08月31日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 きょうで8月が終わる。8月でなく9月が終わると言われても、あっさり頷けそうな気がする。そのくらいこのひと月は長かった。今朝9時の気温16度、霧。
 確かにこんな1千700メートルもある山の上であれこれと思うことだが、ついぞここには訪れることのなかった季節に、釈然としない思いが残る。しつこいほど雨ばかり降らせて、自滅した夏。

 だいぶ前からだが、芝平の分教場周辺の山室川の川床に、溢れんばかりに黄色い花が咲いている。諏訪神社の近くの道路沿いで今朝も伐採の作業をしていた年配の元住人に聞いてみれば、昔はこんな花はなかったという。それで、こういうことは得意ではないが、植物図鑑で調べてみた。
 どうやら帰化植物のオオハンゴンソウという花ではないかと思う。北アメリカが原産で、花期は8月から9月、川や草原に大群落をつくるとある。夏の陽光は射さなかったけれど、こうした草花にはそれでも、短い夏があったのだろう。



 6月のころに伐って、皮をむき乾燥させておいた4メートルの丸太3本をきょう、テイ沢の「夫婦が淵」まで担ぎ上げておいた。ここが、この沢の中でも最も見どころとされる場所である以上、そこに架かる丸太橋にも、もう少し手を入れておきたかったのだ。これで5本、残り1本を持ち上げれば材料はほぼ揃う。9か所ある丸太橋の中でも一番立派な橋にしたいと思っている。さて、できるか。
 森閑とした渓を流れる清冽な水、目の覚めるような緑の苔、それらにやがて紅葉が加わって、あの渓に今年の秋が満ちる。

 秋到来。キャンプ場及び山小屋の営業内容につきましては、「H29年度の営業案内」「続H29年度の営業案内」を参考にしてください。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

    ’17年「秋」 (11)

2017年08月30日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 最近、いつもの通い道が工事中のため、美和ダムのある非持まで迂回してから来るしかない。一般によく使われる千代田湖経由の方法もあるが、退屈な山道で滅多にしか通らない。
 
 さてこの臨時の通い道だが、決して悪くない。山室川はかなり低いところを流れているらしく見えないが、両側の里山を押し広げるように開田が広がっている。この辺りの眺めがなんともいい。空が広く、黄金色(こがねいろ)に輝き出した水田も高い位置に盛り上がるよう見えて、しばらくはそれが風景の大半をしめている所さえある。
 「川辺」という集落は文字通り山室川のそばの低地にあるのだろうが、案内があるだけで集落の様子は分からない。「原」という集落も道路より低く、幾つかの屋根が見えるがそれほど大きな集落とは思えない。道路の右手の丘陵には、その名も「上の原」という地名を示す案内板がある。山室川に東の山から流れ込む幾本かの川筋に沿うように畑だか田圃だかが山際まで続いているが、土地改良が行われる以前は水田よりも畑が多かったに違いない。全体に東から西へと緩やかな傾斜の続く土地に、人の生活が始まったようだ。古刹「遠照寺」の辺りまで来ると、それでも人家の数が増えてくる。
 それにしても、その先はどん詰まりである。西に向かって流れ下ってきた山室川も、このどん詰まりで南に捻じ曲げられている。ここまで来ればいつもの通い道と合流する。ただし、まだ20キロ以上を行かなければならない。
 
 今では辺鄙とは言えない。それでもこういう所を通るたびに、人の暮らし、それも車のなかった山人の暮らしのことを考えるのが癖になってしまっている。住めば都かもしれないが、どういう事情があって、何がうれしくて、とあれこれつい想像してしまうのである。
 ちなみに芝平は、さらに8キロも山の奥。

 秋到来。キャンプ場及び山小屋の営業内容につきましては、「H29年度の営業案内」「続H29年度の営業案内」を参考にしてください。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

   ’17年「秋」 (10)

2017年08月29日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など

Photo by Ume氏

 今朝は久しぶりに、モーツアルトのクラリネット協奏曲を聞きながら来た。この曲について実は長いこと、映画「愛と哀しみの果て」のテーマ曲にも使われたと勘違いをしていた。
 
 デンマーク出身の女性が夫と、アフリカでコーヒー園の経営していたが、結婚生活も農場経営も次第にうまくいかなくなり、同地で知り合った恋人とも死に別れ、失意のうちにアフリカを去り、故国に帰った。後年、アフリカという異郷で暮らした日々を綴った自叙伝「Outo of Africa]を出版し、映画はそれに基づき制作されたと記憶している。
 本を読み、映画も観たので、その心象や情景が牧場までの道中、何枚もの写真を見るように記憶の中に現れて、行ったことのないアフリカ大陸が懐かしかった。
 
 アフリカに人の祖先が誕生して以来、長い歳月をかけて地球の各地に移動をつづけた。その果てに、現在の地に落ち着き、それぞれが独自の文化や文明を築き上げるまでになった。アフリカ大陸に留まった人たちもいたが、やはり人は移動することで知識を増やし、賢くなっていったように思う。
 旅は必要だ。秋になると、抑えていた旅心が疼く。

 予報では、天気は良くなるはずだったのにまた外れた。山の天気だから「曇りか霧で、時々雨」でも仕方ないがきょうは、昼前には晴れていなければいけなかったはずだ。時折、申し訳程度に薄日が射すだけで午前中は過ぎた。
 それでも昼飯を済ませたころからはようやく秋の陽が射し始め、帰り支度を始めた今になって、「もっといろ」とでも言うかのように青空が広がり出した。ここの夕暮れがいい。平穏が沁みる。

 秋到来。キャンプ場及び山小屋の営業内容につきましては、「H29年度の営業案内」「続H29年度の営業案内」を参考にしてください。

 

 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

    ’17年「秋」 (9)

2017年08月28日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など

     


 森の朝ぼらけ、阿原を覆っていた霧の見せた一瞬の躊躇いのようなものがあった。遷移を続ける湿原はやがて、草原に姿を変えてしまうというのに、そのことを知っても朝霧はなおも忠実に、万年の務めを繰り返すのだろうか。人はこの地上からとっくに消え去ってしまった後でも。
 考えてみれば46億年をかけて人類が出現し、消え去るまではわずかな時間でしかない。とてもそんな気紛れで短命な観客のためにいかに寛大な自然でも、これ以上の何かをしてくれるはずもない。その時が来ればわれわれの退場を、無表情に見送るだけだろう。
 138億年の宇宙でさえ、その歴史からすればまだ始まったばかりだというのに、人はとっくにいない・・・。

 部屋の隅に、客人が残していった鍋がある。中ににはきっと食べ残した飯が入っているはずだ。昨夜はほとんど何も食べていない。朝も食べていない。空腹が常態化して、Ume氏の傑作写真を眺めていたらつい、妄想のようなことを独り言ちってしまった。
 はっきりしない天気でも、ひとつだけ言えることがある。待望の秋が今、ここに来ている。
 北原のお師匠がまだハナビラタケへの思いを捨てきれず、本日登場。元気でなにより。

 気遣いの種平小屋の主人は、近々予定の南ア北部の山行に、若Oさんにも声をかけた方がよくはないかと連絡がありました。全く異論はありませんが、最低でも2泊3日になりそうです。

 秋到来。キャンプ場及び山小屋の営業内容につきましては、「H29年度の営業案内」「続H29年度の営業案内」を参考にしてください。


 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

    ’17年「秋」 (8)

2017年08月27日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


「お前、昨日、一昨日と随分抑えた書き方をしたな」
「あっ大先輩、それでござる」
「あんなピンボケの眠たい話でなく、もっとお前の具体的な案や、考えはないのか」
「もちろん、ないわけではござらぬ。どころか、たくさん!」
「なら、それを会議で話し、ブログにも書けばよいではないか」
「大先輩、某(そっれがし)の立場は『オブザーバー』なのでござる。混ぜておかないとウルサイぐらいに考えたんでせう」
「それにしてもお前のそこがアラスカで、富士見がカナダというのは、分かると言えば分かるが、エラク大胆な譬えだな」
「恐れ入りまする。某(それがし)は、ここの素晴らしい自然の利用、活用を考える前に、まず守るべきものをどのように守るかを前提に、話を進めてほしかったのでござる。しかし、何も知らない人たちにそれを言っても無理な話で・・・」
「確かに牧場だけでなく、この静かな環境、人の手のあまり入らない自然は宝だし、何としても守らなければいけないな」
「きょうの写真を見てくだされ。この夕焼け、それに星空、いくら金をかけてもこの自然には勝てませぬ。入牧頭数の減ってしまった牧場だって、上手に役立てる手はありまする。例えば・・・」
「なるほどな。名案だ」
「それに大先輩、この辺りの山や森には、北沢長衛が歩き、見てきたような南アルプスが、まだ残っているのでござる」

ここの山小屋をベースにして美しが原、霧ヶ峰、高ボッチ、守屋山、西駒などへ出かけてみるのも妙案ではないかと、是非
ご一考を。
 
 秋到来。キャンプ場及び山小屋の営業内容につきましては、「H29年度の営業案内」「続H29年度の営業案内」を参考にしてください。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする