この人気のないうらぶれた管理棟を見るのは切ない
中ア経ヶ岳(2、296㍍)にもついに雪が降った。山頂付近ばかりか山腹の中段、えぐられたような深い谷も幾筋もの白い線ができている。昨日、用事で出かけた帰り、天竜川の西側の段丘から入笠方面を見たら、第3牧区のある大沢山の西斜面も一面が真っ白で驚いた。
小春日和が続いていると思っていたら、今週に入って季節は豹変し、冷たい雨は降るし、風の音にも、青い空の色にも、本格的な冬の到来を感じている。昨夜も山は雪だったようだ。
今朝9時の外の気温は8度だった。上と里との温度差は大体6度ぐらいだから、入笠周辺も氷点下にまではならなかっただろう。これで好天が続けば、日の当たる所は雪は融けても、果たして日陰の多い伊那側の山道はどうだろうか。そういえばきょうで11月も終わり、明日からは師走。
昨年は12月に入って何度か雪が降り、越年に車で行けるか大分気を揉んだが幸い上までなんとか行けた。一昨年はそれができず、法華道を歩いて登ったと、記録にある。
昼近くになり、部屋の中まで日が射すようになって大分暖かくなってきた。陰鬱な雲が気に入らないが、ストーブを切っても大丈夫そうだ。
里の暮らしもいろいろとあって結構慌ただしい中、早や10日が過ぎた。まだ、ここの暮らしに慣れたとは言えず、特に所用で市街地に出ると、牧や山道と違い行き交う車に血圧を上げてばかりいる。
また上にいれば、食料の買い入れか風呂に行った時以外に現金は必要ないが、里にいると毎日のようにそれが懐中から去っていき、「オアシ」とはよく言ったものだと感心し、かつ、こんな有様では冬を越せないかもしれないと案じている。
それは冗談にしても、半分くらいは真実かも、要するに現金を使うことに慣れていないのだ。まるで貨幣の流通しない場所、時代に生きていた者のようで嗤う。
それでも、やはり里は便利だ。朝湯だろうが、朝酒だろうが、やろうと思えばやれないことはないし、睡眠は9時間、時には10時間を超え、エンゲル係数を上げながら食欲もいたって旺盛である。
身体をもう少し動かさなければと思いつつ、うすら寒い外の天気を眺めているとその気になれず、一昨日から用意した炬燵に早くも囚われの身となってしまった。
本日はこの辺で、明日は沈黙します。