入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

      ’17年「初冬」 (26)

2017年11月29日 | 野生鹿とその対策


 野生鹿に対して、行政がいろいろと骨を折っていることは承知している。牧場にも、いろいろな人が来る。農水省からも全国の害獣対策を統括する役人が来たことがある。その時に避妊薬のことや、移動式の大型囲い罠については熱く話をしたが、その後のことはどうなったか何も聞いていない(肉筆の局長名で礼状は来た)。
 ともかくまずやるべきことは法令の見直しと、避妊薬の開発で、こういうことは行政が動かない限り進まない。猟師の高齢化などということを誰が言い出したか知らないが、もちろんそんなことを言っていて済むわけではない。学識研究者らが喜ぶシャープ・シューティグとかドローンとか、話題性はあっても、根本的な解決方法にはとてもならない。動物行動学が泣く。

 鹿には4つも胃袋があると書いた。どうも、このことがネックとなっているようで、わが国ばかりでなくアメリカでも、まだそのあたりの研究や、決め手となるような薬の開発はできていないようだ。
 法令の見直しや、新薬の開発など当然、一介の牛守などには提案してみるだけで、どうこうできることではない。ただし、避妊薬が開発され、実験でもよいからやってみろと言われれば、自信がないわけではない。つまり、どうやって鹿に避妊薬を口にさせ、摂らせるかということについては方法がある。入笠牧場なら、3か所から5か所そういう場を設ければ、相当の効果が期待できる。そうなれば、全国にも拡がるだろう。
 こういうことは、学識経験者には無理なことで、それは建築士が設計図は描けても、実際にそれを建てることはできないのと同じ、知識はあるかも知れないが彼らに、猟師の役ができるわけではない。
 行政は、大学の先生や研究者の言うことをもって、結果への言い訳、つまり"保険″にしようとすることがあるやに見受けられるが、無茶な設計に腹を立てる現場があるように、有害動物駆除に携わる者の声にも、さらにもっと耳を傾けなければ鹿は減らないと知るべきだろう。少数の研究者の意見より、多数の猟師の声である。時に変な声も混ざるけど。

1年ぶりに年末年始の営業をすることにしました。また、12月最初の週末、14日のふたご座流星群の観測に合わせて上にいます。お出掛けください。
「冬季営業の案内(’17年度」は、前年のものを流用している部分もあって、段落や改行がおかしく、見苦しいかも知れませんが何卒ご容赦を。少人数の場合は一応ご相談ください。また他の団体と計画が合えば、少人数でも管理棟の予備の部屋10畳ふた間を利用することができます。
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      ’17年「初冬」 (25)

2017年11月28日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 この時期、天気によって風景は大きく変わる。昨日の写真も、きょうの写真も、同じ1週間という範囲の中で写したもので、撮影者自身が驚いている。

 もう少し、鹿とその対策について書いてみたい。鹿の増加については、天敵であったオオカの絶滅、里山を含む山林の荒廃、そして猟師の高齢化、これらはよく耳にするもっともらしい理由付けである。いずれも間違えているとは思わない。思わないが、しかしこうした諸々のことは、時代の流れの中で起こるべくして起きた結果だと思う。炭や木材が燃料としての需要を失った。安価な外材が輸入されるようになった。山間の集落から人がいなくなった。食習慣から獣肉がなくなった。銃の厳しい規制が狩猟への関心を若者から奪った、等々。
 最後の、厳格な銃の取り扱いについて、ここで異を唱えようというつもりはない。なぜなら、これだけ増えている鹿に、銃の効果はそれほど期待できないからである。狩猟と駆除は、似て非なるものである。庭の隅でやる趣味の家庭菜園と、大規模な農業ほどにも違う。鹿の駆除はとても鉄砲だけで間に合うような段階、仕事ではない、それが正直な感想である。
 では、どうするか。大型の囲い罠の効果については、入笠牧場においてもそれなりの結果を出せたと思うが、ただしこれは固定式である。鹿は学習する。もし、年単位で設置場所を移動できれば、捕獲効率はもっともっと上がる。そう断言してもいい。が、ここでは囲い罠についてはこれ以上言及しない。
 それよりも、もっと効果が期待できるのが、鹿に対する避妊薬の開発であり、投薬である。ただしそれには問題が二つある。理由は分からないが現在は、こうした薬物の使用が法によって禁じられているらしい。避妊薬の使用は人にも認められているのに、それがなぜ駄目なのか。この方が現行の殺処分よりも極めて穏当な方法だと言えるし、鹿にとっても撃ち殺されるよりはいいに決まっている。これが解決すべき一点。
 もう一つは、鹿は牛と同じように、4っつの胃袋を持っている。このことが、法的問題を解決できたとしても、避妊薬の効果の点で、難しい課題となるはずだ。(つづく)

1年ぶりに年末年始の営業をすることにしました。また、12月最初の週末、14日のふたご座流星群の観測に合わせて上にいます。お出掛けください。
「冬季営業の案内(’17年度」は、前年のものを流用している部分もあって、段落や改行がおかしく、見苦しいかも知れませんが何卒ご容赦を。少人数の場合は一応ご相談ください。また他の団体と計画が合えば、少人数でも管理棟の予備の部屋10畳ふた間を利用することができます。

 

 
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      ’17年「初冬」 (24)

2017年11月27日 | 野生鹿とその対策


 夜の山道を帰るときには、決まって鹿と遭遇する。車を見ただけで夢中で逃げ出す鹿がいれば、鷹揚に義理ででもあるかのように茂みに消えていく鹿もいる。迫ってくる車の中に人影を確認するまで動こうとしない鹿もいるくらいで、反応はまちまち、同じではない。
 そういうときに、ああやって藪の中に飛び込んでいったり、渓流を飛び越え逃げていけば、ときにはあの大きな目を枝で突いたり、石で足を挫くこともあるだろうにと思う。猿も木から落ちると言われるのだから自然の中でのこと、当然鹿にだって事故や死はあるだろう。加えて、今や天敵となった人間が、有害動物駆除の名の下にあの手この手で襲ってくる。
 では、鹿の数は減ったのかと聞かれれば、とてもそうだとは言えない。この頃では、鹿たちも実は仲間の増え過ぎに困惑しているのではないかとさえ疑うほどだ。放牧地に夜な夜な50頭もの鹿の群れが幾箇所にも出没し、牧草を文字通り根こそぎにしてしまうのだ。冬を前に、やがては食べつくされてしまう。牧場以外の近くの森や林で、ここまでのことはしない。良質な餌場に多数の鹿が集中するようになってきている。
 それと関係するか否か分からないがこのごろ、雄鹿が集団で行動する現場をよく目にする。1ヶ月ばかり前、囲い罠で捕獲した9頭の鹿のうち、雄は6頭と書いたが、実は7頭だった。7頭の雌鹿に2頭の雄鹿だったら驚かないが、これも鹿の世界に起こっている何らかの変化だろうか。
 鹿が増えてしまった原因に、猟師の高齢化ということが盛んに言われる。しかし、若い人がではなぜ猟をしないのかをちゃんと説明しようとする人はいない。ドローンを飛ばして、鹿を追い散らそうとする試みも話題になった。鹿は見慣れぬ、おかしな音を立てて飛来し、接近してくる物体だからとりあえず逃げる。しかしあれを、人間が作った飛行物体と認識して逃げるのだろうか。とてもそうは思えない。ということは、今に逃げなくなるかも知れない、牛のように。
 これまでに、いろいろな試みが行われ、そっれなりに話題を取ることはできた。しかし、その結果はどうだったのだろう。(つづく)

1年ぶりに年末年始の営業をすることにしました。また、12月最初の週末、14日のふたご座流星群の観測に合わせて上にいます。お出掛けください。
「冬季営業の案内(’17年度」は、前年のものを流用している部分もあって、段落や改行がおかしく、見苦しいかも知れませんが何卒ご容赦を。少人数の場合は一応ご相談ください。また他の団体と計画が合えば、少人数でも管理棟の予備の部屋10畳ふた間を利用することができます。
 



 
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      ’17年「初冬」 (23)

2017年11月26日 | 入笠牧場からの星空

                                    Photo by Nzaki氏 (転載不可)

 美しい冬の夜空である。ほぼ中央に冬の星座を代表する「オリオン座」が見える。「冬の大三角形」へと視野を広げ、さらに「冬のダイヤモンド」を狙おうとしたかのかも知れない。唯一の和名を持つ昴も西の天空に輝いている。撮影場所は、キャンプサイトBで、昨日は同所から北の夜空を撮影した写真を掲載したが、きょうは中天の南から西の方角を撮った写真だと思われる。
 天体写真でお馴染みの、かんと、TBI、TOK、Ume、Iwaの各氏などは、Cサイト近くの駐車場や、ゲート前の舗装路上で多くを撮影しているが、その場合、きょうの写真の左下に写っている落葉松のシルエットは右手に来て、星景写真の一画を占める重要な役割を果たしてきた。
 そういう点では、これは新しい撮影場所からの初めてのアングルだと言えると思う。と言っても、もちろん、撮影時の星や、星座の位置にも影響されるし、どんな星の写真を撮るかにもより、撮影場所も当然変わるだろうことは承知している。特に星景写真は星空に加え、背景も重要だから、今後いろいろな場所からの撮影が試みられるだろう。
 この時は、夜中の2時ごろからようやく晴れ上がったというから、忍耐の結果である。「無窮の遠(おち)」への思いは様々だろうが、ここへは、熱意ある星の狩人たちに来てもらえたら、歓迎したい。
 伊那市の白鳥市長が「日本一の夜空」だと発言したのを聞いたこともある。単なる観光目的でない星のキャンプ場であり、牧場として、行政には少しづつでも息の長い支援を希望したい。
 Nzaki君、協力ありがとう。

1年ぶりに年末年始の営業をすることにしました。また、12月最初の週末、14日のふたご座流星群の観測に合わせて上にいます。お出掛けください。
「冬季営業の案内(’17年度」は、前年のものを流用している部分もあって、段落や改行がおかしく、見苦しいかも知れませんが何卒ご容赦を。少人数の場合は一応ご相談ください。また他の団体と計画が合えば、少人数でも管理棟の予備の部屋10畳ふた間を利用することができます。
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      ’17年「初冬」 (22)

2017年11月25日 | 入笠牧場からの星空

                                         Photo by Nzaki

 こういう美しい冬の星空を目にすれば、自分が行ってみたいと思うだけではなく、見せて上げたい人の顔まで浮かぶかも知れない。しかし、甘くはない。標高1千700メートル、厳寒の山の中である。この写真が撮影された夜は、マイナス10度まで下がったという。さらに季節が進めば、もっと気温も下がる。マイナス20度を覚悟しなければならない夜もある。
 それでも、来る人たちはいる。長いながい準備をして、凍りつくような寒気の中で遥かなる星々に照準を定め、長時間の露光にじっと耐え続ける・・・。星の狩人たちだから。
 当然、睡魔も襲ってくるだろうし、刻々と上空の気象条件が変わる場合だってある。忍耐や努力だけでは、狙う星や星雲を射止めることはできない。そうした覚悟の上でやって来る人たちなら、わが国屈指の星空への入場切符を、喜んで進呈したい。

 チラッとだけだが、高校生の間で、登山熱が復活しつつあるという記事を目にした。喜ばしくもあるが、事故が起これば引率者は徹底的に責任を追及される。それを思うと、単純には喜べない。
 登山の目標が上がれば、それだけ危険も高まろうが、だからと言って、行楽地に押し寄せる人々のような物見遊山の気分でいては登山にならない。真剣に、緊張感を持って、一歩一歩を着実に、登るしかない。誰もがだ。
 その困苦の果てに搾り出されるものこそが、山の喜びであり、それを求めて登るのだから。

 Ebinademaruさんの「テイ沢」も、ユーチューブで見ることができるようになりました。ぜひご覧ください。そうですお師匠です。N崎君の星の写真は明日も掲載の予定(無断転載は不可です、念のため)、お楽しみに。

 1年ぶりに年末年始の営業をすることにしました。また、12月最初の週末、14日のふたご座流星群の観測に合わせて上にいます。お出掛けください。

「冬季営業の案内(’17年度」は、前年のものを流用している部分もあって、段落や改行がおかしく、見苦しいかも知れませんが何卒ご容赦を。少人数の場合は一応ご相談ください。また他の団体と計画が合えば、少人数でも管理棟の予備の部屋10畳ふた間を利用することができます。


 

 
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