しばしブログを中断してしまった。
雪深い山の中で起きた事件に翻弄される日々が続く。実は、愛犬キクがいなくなってしまったのだ。22日の夜、牧場の北門までおよそ1キロほど手前、「ど日蔭のコーナー」を目前にして、暗い雪道に鹿の死骸と出くわしたのが事の始まりだった。
一瞬「まずい」と思ったが、2匹の犬はすっかり鹿に狂奔し、肉を漁り始めた。すでに日はとっくに暮れて辺りは暗く、時折雪交じりの突風が襲ってくるような天候状態に、先を急ぐ必要があった。しばらくすればいつものようにすぐ追いかけて来るだろうと、犬をそこに放置したまま進んだ。
案の定5分もしないうちに、HALが来た。しかしキクの姿は続かなかった。道は深くU字に曲がりながら続くから、キクにはこちらから呼ぶ声がずっと聞こえていたはずだ。にもかかわらず来なかった。小屋に着いてからも待ち、夜中も何度も外の様子を見るために起きた。
翌日も一日待った。が、キクは姿を見せなかった。
翌々日の24日、富士東高校の一行を送り出すと、大急ぎでこちらも戸締りなどを済ませ出発した。道中犬の名を連呼しながら下っていったが、二日前に鹿の死骸があった場所には、わずかに毛が残っていただけで、本体は跡形もなく消えていた。キクの動静を知る手掛かりも、風にあおられ雪が消してしまっていた。
道々考えていたことは、あの夜なぜキクが後を追いかけて来なかったかということだった。それをする時間は十分にあった。
以前、冬の法華道でも似たようなことがあった。登り始めてしばらくすると、キクの姿が見えなくなった。このときもHALだけが管理棟に着いて、キクは追随しなかった。一息入れるとやむなく予定を変えて、4時間かけた雪道をまた引き返した。そして2時間後、先行していたHALの姿が二つになった、と思ったらキクだった。
このときも、キクは残臭を頼って後を追うということをしなかった。一度は駐車した場所まで下りたかも知れなかったが、6時間ほどの間姿を消した場所からあまり離れた様子がなかった。今回もキクは迎えが来ると思って、待っていたのだろうか。
25日、26日と車を停めた芝平のハイランド入口まで行ってみた。簡単な小屋を作り、キクの使っていたマットや餌も置いてきた。関連する役所には、伊那、富士見、諏訪と届け出を済ませた。
そして昨日27日、もう一度富士見のゴンドラを利用して管理棟に上り、再度4時間の道程をキクの消息を求めて歩いた。
この間幾つもコメントを頂いています。Chiyさん、TDS君、猫さん、F/C Nさん、歩く中さん、Akiさん、ありがとうございました。
山小屋「農協ハウス」の冬季営業に関しましては、11月17日のブログをご覧ください。