入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

     ’24年「夏」(5)

2024年05月31日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 第2牧区のレンゲツツジの花がもう咲き出した。ヤマナシ、コナシ、クリンソウそしてこの花、レンゲツツジの順だと、つい先日も問い合わせてきた伊那市の観光課の職員に伝えたばかりだった。
 それはそうと、この自然の乱調を、当の草花はどう感じているのだろうか。

 きょうでこの呟きを開始してから4000日が経った。1000日も2000日も、そして3000日もまったく意識してなかったが、恐らく今回は、こういう大きな節目はこれが最後だという気持ちがあったのだろう、春ごろから時々気にしていた。ところが昨日、それが翌日のきょうだと知り驚き、慌てた。
 と言って、何かあるわけではない。都知事のあの人も言っていた「継続はナントヤラ」などという気にはとてもならない。
 実際、この呟きがここの山小屋やキャンプ場の広報宣伝にどれほど役立っているたかと言えば、雲をつかむようなもので覚束ない。もちろん、この独り言を聞いて訪れたと言う人もいて、そんなことを聞けば喜ぶが、「ナントヤラ」にはまだ遠い。

 では後悔しているかと訊かれたら、そうでもないと応えたい。ここでの人知れずにやっている仕事、一人で満足し、夜の小宴で飲む酒の味、その酔い心地、この呟きも10年も続いたとなれば、その程度には感ずることは許されるかも知れない。
 それにしてもこの仕事と言い、この呟きと言い、予想を超えて長く続いた。76年生きて、18年続けたこの牧場管理人の仕事が、自分の人生のすべてと思う時さえある。しかしそれでいい。

 ここの営業に関しては呆れたことだが、農協も行政も遠い昔を省けば殆ど外部に発信していない。これほど中級山岳の魅力を持った自然が勿体ないと、それでPCなどというものに手を出してしまった。この独り言の始まりである。
 多くの人の支援を受けて、子供がようやく自転車に乗れる程度にはなったかも知れないが、しかし、遠乗りはまだ無理だ。きょうも、このPC奴がおかしくなり、只今やり直し中、血圧が上がる。
 
 協力してくれた人々、今も支援してくれている人々ついては、この呟きでも名前は仮称としているのに倣うが、有難く、感謝している。もちろんあなたの名前も忘れてはいない、嬉しく思っている。もとい、「多くのあなた」だ。
 これからいつまでこの独り言が続くかは分からないが、それでも、この呟きを聞いて「行って見ようか」などと思ってもらえたら、それこそ本望、報われる。

 長らく小屋とキャンプ場の営業を中止していましたが、今週から再開致しました。是非お出掛けください。
 山小屋&キャンプ場の営業案内は下線部をクリックしてご覧ください。
 本日はこの辺で。
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

     ’24年「夏」(4)

2024年05月30日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 午前6時、湯を沸かそうとして台所に立って初めて、カッコウの鳴いているのに気付いた。最近ではこの鳥の鳴き声にもすっかり慣れてしまったのか、今朝のように何かの拍子でやっと気付かされることが多い。
 鳴き声が止んだと思ったら、どうやら鳴く場所を変えたのか、それとも別の鳥か、今は殆ど聞き取れないほど小さな声が遠くからしている。

 いい天気だ。五月晴れの好天も、明日は期待できそうもないから、きょうが最後になるようだ。当てにならない(失礼!)長期予報によれば、梅雨入りは中旬ごろになるという。
 牛は6月20日の入牧になるから、まさにここに来て早々から雨に祟られ、耐えながらこの季節を過ごすことになるだろう。もちろん牛が一番大変だが、その不憫な姿を見守る牛守にしても、この時季は厄介な時だ。
 入牧したばかりの牛たちは神経質になっているし、雨に濡れれば風邪をひくことだってある。

 今の段階では肉牛と乳牛がほぼ同数のようだから放牧地を別々にしようと考えている。肉牛の和牛に対し、乳牛であるホルスタインやジャージーはかなり劣勢な立場に置かれるからで、塩場などではそれが一目で分かる。いつも和牛の後でなければ、乳牛の番は回ってこず、充分に塩分がゆき渡らない怖れがあるのだ。
 牧草の状況にあまり拘らない和牛を道路沿いの囲いに続く第4牧区に入れ、乳牛は第2、第1とするのがいいのだが、牛を見にここへ来る人たちのお目当ては、無骨然とした黒い牛よりか、白と黒が斑(まだら)なホルスや、ジャージーだろう。
 そうなると、放牧は逆にしなければならないが、人よりか牛を優先する立場としては、もう少し牧草の様子を見てから判断したい。

 昨年に続き、第1牧区の鹿対策用の電気柵は一部を省き使わない。そのため、あの広大な第1牧区を取り囲む電気柵の下草刈りも一部だけで済む。また、管理棟の裏手、西側の傾斜地からその上の放牧地である第2牧区は長らく牛を出さなかったが、昨年から新たに区画をやり直し、牧区を縮小した上で放牧できるようにした。
 今年はそういう新たな牧柵の設置など面倒で手のかかる作業をせずに済む。それでも月が変われば、恐らく牧場の仕事に専念しなければならず、18年目の重みを感じている。

 赤羽さん、かんとさん、通信は拝読しています。赤羽さんの話には大変気がそそられますが、入笠牧場一途で終わるつもりです。かんとさんは今から雨だけが心配ですが、一応承りました。クク。
 長らく営業を中断していましたが今週より再開いたしました。新緑や草花の美しい今こそ、是非お出掛けください。
 山小屋&キャンプ場の営業案内は下線部をクリックしてご覧ください。
 本日はこの辺で。

 
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

     ’24年「夏」(3)

2024年05月29日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 昨日はあんなことを言っておいて、結局、里へ下った。それがわが家も二日目ともなれば、どちらが本拠か分からなくなり、気分よく風呂には2回入ったし、睡眠もしっかり9時間は眠ることができた。
 
 夜は雨ばかりか風もかなり強く吹いたらしく、来る途中の山道には風で吹き飛ばされた落葉松の枝がやたらと落ちていた。それが車に絡み2回ほど停車を余儀なくされたくらいだから、少しは状況が伝わるだろう。
 それと、鹿の群れにも何度か出くわした。最近は多数の鹿が群れで林道にまで出没する様子など目にしなかったが、昨夜の荒れた天気と何か関係があるのかも知れない。
 案じていたコナシの花に関しては、確かに多数の花弁が道路に落ちていたが、そうした終わった花よりか、これから咲き出す花の方に勢いを感じる。昨日も紹介したようにキャンプ場Cのコナシの木など、きょうも頑なまでに蕾の赤い外皮を脱ごうとしない。

 最近小屋の前に置いてある2本のヒノキがやたらと目立つ。どうしたものかと途方に暮れていたが、手の空いた時に気紛れで外皮を剝いてみたら、さすがにヒノキの木肌の美しさは格別至極で、もう、バレーリーナーと言うより・・・、譬えようがない。その都度に感動している。
 生木ではあっても2本の木は伐り倒した時が違うらしく、1本は、一部だけだが、皮そっくり剥けてスベスベした白い木肌が現れたが、別のもう1本の方は少し乾燥が進んでいたのか、外皮の下のさらに薄い皮を剥かなければ本当の芯には届かないということを知った。
 今朝もそうだったが、時折「剥いてかぬか」と誘いかけられ、気紛れながらそれに応じてここまで来た。いずれ、役に立つ日がくるだろう。


 
 

 霧が晴れたら牧場を一回りして、その後テイ沢の様子も見にいくつもりでいる。そう呟いたら今、遠くで女の人の声がした。これから沢へ向かうのか、そこから来たのか、しかし姿は見えない。お気を付けて。

 本日はこの辺で。長らく休業しましたが、今週から営業を再開しています。お出掛けください。
 山小屋&キャンプ場の営業案内は下線部をクリックしてご覧ください。

 
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

     ’24年「夏」(2)

2024年05月28日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 雨の中を戻ってきた。昨日、東部支所で用事を済ませ、その後久しぶりに家に帰り1泊したのだが、妙なもので、まるで主のいない家に無断で上がり込んだような気がして、今朝は目が覚めると早々に出てきた。

 濡れた木々の葉が鮮やかさを増し、さながら緑の海を思わせるような中をずっと走り続けてきた。今朝は芝平を過ぎて始まる悪路の山道を避け、千代田湖経由。距離では43㌔くらいと芝平経由より5㌔ほど増えるが、時間的には約1時間15分、変わらない。
 北門を過ぎて初の沢の大曲りの近くまで来ると、一番遅れたダケカンバの初々しい黄緑の葉が谷を埋める周囲の緑の中で一際目立っていた。
 気になるコナシの花については、心配していたほど雨の影響を受けているとは見えなかったものの、これから風や雨脚が強まればどうなるのか。それに今年は開花が揃ったとまでは言い難く、気紛れな花の咲き具合に例年ながら気を揉んでいる。

    白い花が開花する前

  キャンプ場(C)のコナシはまだこんな
 
 この木については殆ど褒めたことがなかった。白い花が咲く時季と、晩秋の葉を落とした樹々の多数の枝が遠目には葡萄酒色に見える時、それと焚き木には保(も)ちがいいということぐらいだろう。それだけ良い点があれば充分だというかもしれないが、1年のうちの殆どが「性悪女の木」然としていれば、付き合う方はなかなか大変である。納得してくれるご同輩もいよう。
 今春もかなりの日数をかけて、牧場内を走る道路際のコナシを中心にした枝打ちをしたつもりだった。しかし、雨に濡れて葉と花を付けた枝が重く垂れ下がり、道路に覆いかぶさるようになっている様子を見れば、唯一の報酬だった自己満足すら消えてしまいそうだ。

 雨脚が激しくなってきた。時折それに唸るような風の音が混ざる。こんな天気では訪れる人もいないし、里で1件果たせなかった用事があり帰る手もなくはない。
しかし、このまま小屋の中でできることをしつつ、これから迎える梅雨の季節への気持ちの備えでもしておく方が良さそうだ。
 テイ沢の水量が気になる。

 本日はこの辺で。
 山小屋&キャンプ場の営業案内は下線部をクリックしてご覧ください。
 
 



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

     ’24年「夏」(1)

2024年05月27日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など

       対象を絞れないまま、アレやコレも
 
 幾日も好天が続き、一番遅れていたダケカンバやミズナラもようやく若葉を茂らすようになった。コナシも少しづつ赤い外皮を脱ぎ、白い花に変わりつつある。3日ほど前には、初の沢の大曲でクリンソウの赤い花が咲いているのも目にした。
 
 あの人たちの仕事も先週の土曜日には終わり、それを待っていたかのように、10頭ほどの鹿が囲い罠の中に入った。今朝6時前には下から猟師が2名来て、それらを殺処分することになっている。
 
 牧場では、今年度初の有害駆除が済んだ。2頭ほどが囲いを破って逃げたという報告があり、確かに獲物は8頭だった。逃げた鹿はいずれも半矢(弾は当たっていても倒せなかった状態)だったそうだが、もしこの鹿たちが仲間の許に帰れたとしたなら、果たして彼らの体験をどう伝えるのだろうか。
 日ごろの鹿たちの挙動からしても、また今回のことでも、明らかに危機を脱した鹿は、この罠の恐ろしさを充分に学習したと考えていいだろう。「この柵の中には塩があり、周囲と比べて草の生育もいいが、絶対に入ってはいけない。罠だ」と人間なら教えるだろう。しかし一体、言葉のない彼らがどのように恐怖の体験を仲間に伝えることができるのだろうか。

 土曜日、突然、若い女のキャンパーがやって来た。管理棟の部屋の横を通り過ぎていこうとするので驚いて呼び止め、きょうは営業してないと断ろうとしたが相手にはこっちの言うことが通じない。顔や姿は日本人と変わらないが、どうやらそうではないようだ。
 そうこうするうちに「香港」という言葉が聞き取れた。それで錆び付いたネジを無理して回すような思いで英語で尋ねたら、そうだと言う。ならば止むえないと、取り敢えず緊急的に受け入れることにした。

 はっきりと言って、彼女の英語にも相当の難があった。それでも、最初に紹介した場所は小さな虫がいるから別の場所にしてくれとか、なんだかんだ相手の言うことは理解でき、こちらの事情も伝えることができた。
 そればかりか夜は、手伝いに来てくれたもう一人の友人も交え、ビールを飲みながら親しく交歓もした。言葉があったからだ。
 
 しかし、鹿たちにはない。それでも、あの罠を怖れていることはほぼ間違いない。
 先日触れたクマにしても、何らかの方法で人間は怖しいということを学習している。それと比べて、むしろ人間の方が、野生動物に対する学習不足を認めるべきではないか、近頃そう思うようになった。

 大変お待たせいたしました。今週から、営業を再開いたしました。どうかこれまで同様、「混雑させないキャンプ場」をよろしくお願いいたします。
 山小屋&キャンプ場の営業案内は下線部をクリックしてご覧ください。
 この呟きの題名も「夏」にしました。本日はこの辺で。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする