断酒を決めてから二十日が過ぎた。実はこの間、告白すると3回ばかりだが、アルコールを口にした。入笠から帰った先週の日曜日(3月22日)の夜、来客もあり、あまり頑なになるのも見苦しく、いかがなものかと思ったのだ。また丁度、FMZ君から大量の酒とビールが届いたので、早速試飲して礼と感想を伝えなければ、恩義に悖るということも考えた。それにしても彼から受けた数々の厚意・厚情に対して、こちらからはタラノメとキノコを送るぐらいで、最早今生においてはとても返えし切ることはできない。感謝、涕泣。
羅臼昆布でしっかりと出汁(だし)を引き、京都のナントカという絹豆腐を使って丁寧に湯豆腐を作り、香の物を用意した。これだけでもう、十分である。またこの夜は電子レンジなぞという無粋なものは避け、ヤカンに湯を沸かし、正当なやり方で熱めの燗をつけた。
で、まずは一杯ゴクリと。刹那、口中に激雷が発生し、喉から胃の腑に電光が走った。身体がふるえ、失禁しそうになったので、急いでビール奴を喉にドボドボと流し込むと、熱せられた口腔は間を置かず冷やされて、ついにはあまりの快感に絶叫した・・・。一夜明けても前夜の勢いが止まらず、またビールを飲んでしまった。嗚呼。
もう一度は一昨日の日曜日、その理由はこれまた深刻極まりなくて、アルコールから得ていた糖分を急に遮断してしまったため、チョコレートを手放せなくなってしまったのだ。と言って、こんな砂糖の塊りをのべつ幕無し喰らっているくらいなら、むしろ酒でも飲んだ方が余程健康にもよかろうとの重い判断で、自らを被験者にして、軽く実験をしてみたのだ。もちろん、前回の統御不能の”勢い”は、昨夜のうちにサイドブレーキをしっかりと効かせておいたので、今はもう鋼鉄の意思の支配下にある。たとえチョコレートの虜になっても、断固断酒は続行する。
ともかくも残り十日。そしてさらに十日もすれば、仕事が始まる。そうなればまた、一日を閉じる祭りが必要になるだろう。
昨日、樋口次郎兼光の墓所で見付けた
今日で3月も終わる。東京は桜が満開らしい。沈丁花の香で始まる東京の春もいつにか遠くなって、今では入笠牧場の山桜でする花見が楽しみだが、それよりも春はゆっくりと過ぎていってほしい。