追い上げ坂と第2牧区の一部を囲いの中の上段から撮影
名前の知らない蝶が飛んでいった。それほど強くはないが、結構風に翻弄されているように見えて、ちゃんと目指す方向へ飛び去ったようだ。トンボも同じように高い空を素早く進路を変えたりしながら飛んでいたが、やがて見えなくなった。
もし人間が最新鋭の戦闘機を使ってあんな飛び方をやったら、急激な重力がかかり失神は免れないだろう。それどころか、恐らく内臓破裂のような被害を受けるだろうに、か弱い昆虫や鳥があんな飛び方をできるのが不思議だ。
林立する樹々の複雑な枝の間を巧みに擦り抜ける鳥、急斜面をかなりの速さで駆け下りていく鹿にしても、よくあんなふうな危険な行動を繰り返しながら、事故を起こさないものだと感心する。
昆虫や鳥、野生動物にも高齢者はいるだろうし、そういう生き物は、人間界で起きているようなヘマを起こしそうなものだが、実際はどうなのだろうか。そういう例を目にしないし、耳にもしない。
そこへいくと、家畜である牛は事故を起こすことがある。死亡することもある。大雨や嵐にもそれなりに耐え、強靭なところも見せるが、あまりにも呆気なく命を落とし、家畜ならではの弱さだろうが、これまでにそういう事例を幾度か見てきた。
幸い、今年も死亡事故などはなくて、目下のところはどうやって4頭の残留牛を無事に下ろすかが課題である。昨日、その件に関して畜産課長から来月の6日に下ろしたいとの連絡が入った。
草の状況や、4頭が11月に出産予定である点を考えれば受け入れるしかないが、まだ32番以外は手懐けることができないでいる。約1週間、その間には牛だけに専念できない事情もある。どうなるか。
囲いの中で残留牛を手懐けようとしていたら、中年の女性登山者がテイ沢方面へ行く途中、和牛の姿が目に留まったらしく珍し気に眺めながら、軽く会釈して通り過ぎていった。きょうのような日なら、きっと一人で静かな渓を満喫できるだろう。今年は昨年と違って、9月の降雨量は少なかった。
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本日はこの辺で。