開田から眺めた仙丈岳、夜の散歩にもここを通る
11月が終わる最後の日、30日の土曜日、思い立ってこの冬初の夜の散歩に出かけた。時計を見たら丁度8時、「炬燵の囚われ人」になってしまったようなことを呟いたばかりなのに、これもいつもながらの気紛れであった。
1時間40分、歩数は確認しなかったがおよそ1万3000歩、距離にして10㌔ほどになる。75歳を過ぎると一気に体力が落ちるという話を聞いたことがあるが、幸いそういうふうには感じなかった。
開田に出た所で南の空に丁度オリオン座が昇ってきた。それを眺めながら北に進み、瀬澤川の流れる谷に下り、「八手」集落の端を山付きに沿って歩き、峠を越して「福与」に出る。これでおよそ半分。眼下に伊那谷の夜景を眺めながら長い段丘を西に下り、今度は畑中の道を南に向かい『卯ノ木」の集落を抜けて天竜川の堤防に出ると、川音を聞きながら1キロほどを歩けばわが集落「福島」に戻ってきて、散歩は終わる。
こう呟いてみたとて、土地勘のない人には距離感も伝わらなければ、途中で目にする伊那谷の夜景も想像できないだろう。山道では動物の物音などで緊張することもあれば、安堵することもあるが、それも伝わるまい。
暗い沢の底から、少しづつ高度を下げていく段丘の途中から、そして天竜川の広い堤防から、それぞれが違う水の流れる音を聞きながら歩き、あるいは目に触れる夜景は山裾の暗い林や森であったり、途切れ途切れの集落の灯りであったり、収穫を終えたばかりのリンゴ畑の中だったりと、人眼に付かぬような道ばかりで、そういう所を選んで歩く。そして、いろいろなことを思い出し、考え、空想する。
また折に触れて、そんなときに浮かんでくる雑念、妄念を呟くことがあるかと思う。耳障りでなかったら、聞いてくだされ。
そうい言えば、心のラジオ体操も散歩を終えた同じ日に再開した。散歩は思い付いたときだけだが、こっちは毎日続けるつもりでいる。
1日のうちのたった30分か40分のことである、そう思いながらもこの間は他にはない存在感のある時間で、冬ごもりの日々に習慣化したい。いや、それでこの短気は治らないそうであるが。
今朝7時の気温、外気は零下0.5度、室内は6度だった。入笠はここよりさらに6度低かったとしたら、今冬一番の冷え方だったろう。きょうもいい天気が続くようだから、上でも日の当たる所の雪は融けると期待している。
本日はこの辺で。