Photo by Ume氏
午前7時、気温3度。朝の光がまるで鋭い刃となってレースのカーテン越しに射し込んでくる。囲いの中の牧草が朝露に濡れて光って、日陰と日向の強い対比の中で牛たちはすでに行動を始めている。見慣れたその風景に気が落ち着いてきて、またきょうが始まったことを時間をかけ、ゆっくりと納得した。
今朝の気温で、ここよりか約100㍍ほど標高の高いヒルデエラ(大阿原)には初霜が降りたかもしれい、そう思ったら、じっとしていられずに行ってみた。車を運転しながらしめやかな大気の中を進むと、幾日か続いた寝不足と疲労感を追い出すには、悪くない気紛れ・思い付きだという気がしてきた。
富士見側の展望台辺りまで来ると、真っ青な空に八ヶ岳の峰々が屹立しているのが見え、そこから昇った日が眼下の裾野の盆地一帯に降り注いでいた。いつもならそこで充分な高度感や、広大な展望を楽しめるのだが、まだ盆地の上空に取り残された雲が這いつくばるようにその上から覆っていて、眺望を求めるならもう少し時間を遅らせた方がよかったかも知れない。
どうやら初霜はまだのようだった。それでも、すでにその辺りの秋色は一段と進み、特に落葉松の緑の葉が渋い茶の色に変わりつつあるのを、沈黙した林の中を走りながら見た。やがてはその色も深まる秋の大気の中で磨かれて、鮮やかな金色に変わるだろう。
北原のお師匠から電話が入り、紅葉の見ごろはいつごろになるかと難しい質問を頂戴した。夜毎飲むビールや酒の値段を知ることもないのと同じで、などと言ったらおかしいが、この辺りの自然の変化について、誰かに教えるほどのしっかりとした知識を持ち合わせていない。14年も毎年、長い秋を願って、その季節を大切に暮らしてきたのに、何とも情けない次第だ。
そこで、昨年のこの独り言を"聞き直し"てみた。それによれば、どうやら紅葉の時季は10月の後半、20日前後くらいが良さそうな気がする。ただ、紅葉もいろいろな樹木による。この辺りの山で代表と言えばモミジだろうが、この木の葉が色付くのはそのころになると思う。すでにツタウルシは見頃を迎えているし、山桜の葉も中には紅葉している木もある。
昨年は、台風による大雨でテイ沢の丸太橋が流されたことも呟いていて、3度目になるか。今年流れたら、復活させる気力がまだあるのかと心配している。
Mさん承知しました。本日はこの辺で。