第2検査場にある山桜が、ぼつぼつ花を咲かせ始めたと思ったら、昨夜の寒の戻りである。周囲を出し抜いて、艶やかな春の装いを見せてくれようとしたのに、情のない季節の仕打ちにあの桜の木は狼狽(うろた)えて、悲鳴を上げたかも知れない。こんな時期に流し場の水道の下に小さな氷柱(つらら)を目にしたのには驚いた。それでも昨夜のSさんとNさんは、そのお蔭と言っては何だが、見事な星空を眺めることができたと喜んでいた。
連休の前半はキャンパーはたったの一組で終わるかと思っていたら今日、新たに3組様にお出で頂き、ようやくキャンプ場らしい雰囲気が感じられるようになった。皆さん何度か来てくれた人たちで、中にはご夫婦で3泊という”非常に正しい”予定の人たちもいる。確かにここは、連泊がお勧め。
今の時期、これだけの余裕で草の褥(しとね)を楽しめる場所は他にないだろう。アラスカの広大な森の中にあるキャビンのように、隣家と100キロも離れているわけではないが、それでもよくある観光地のついでのようなキャンプ場よりも、ずっとここはアラスカに近い。
久しぶりにUme氏が来て、種平小屋のT夫妻もやってきた。少しづつ、季節の移ろいとともに牧場にも活気が出て、あと3、4日もすれば、ここらにある100本以上の山桜が咲き出すだろう。そうなれば誰も知らない山桜の古木の下で、残雪の空木岳を背景に、花見と洒落るのが楽しみだ。
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