入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

       ’16年「春」 (52)

2016年04月30日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


  第2検査場にある山桜が、ぼつぼつ花を咲かせ始めたと思ったら、昨夜の寒の戻りである。周囲を出し抜いて、艶やかな春の装いを見せてくれようとしたのに、情のない季節の仕打ちにあの桜の木は狼狽(うろた)えて、悲鳴を上げたかも知れない。こんな時期に流し場の水道の下に小さな氷柱(つらら)を目にしたのには驚いた。それでも昨夜のSさんとNさんは、そのお蔭と言っては何だが、見事な星空を眺めることができたと喜んでいた。

 連休の前半はキャンパーはたったの一組で終わるかと思っていたら今日、新たに3組様にお出で頂き、ようやくキャンプ場らしい雰囲気が感じられるようになった。皆さん何度か来てくれた人たちで、中にはご夫婦で3泊という”非常に正しい”予定の人たちもいる。確かにここは、連泊がお勧め。
 今の時期、これだけの余裕で草の褥(しとね)を楽しめる場所は他にないだろう。アラスカの広大な森の中にあるキャビンのように、隣家と100キロも離れているわけではないが、それでもよくある観光地のついでのようなキャンプ場よりも、ずっとここはアラスカに近い。
 
 久しぶりにUme氏が来て、種平小屋のT夫妻もやってきた。少しづつ、季節の移ろいとともに牧場にも活気が出て、あと3、4日もすれば、ここらにある100本以上の山桜が咲き出すだろう。そうなれば誰も知らない山桜の古木の下で、残雪の空木岳を背景に、花見と洒落るのが楽しみだ。

 山小屋「農協ハウス」とキャンプ場の営業に関しましてはカテゴリー別の「H28年度の営業案内」をご覧ください。
 
  

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       ’16年「春」 (51)

2016年04月29日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


  連休初日、例年のことながらここは静かなもので、テイ沢から来る登山客も普段の休日の方が多いくらいだ。朝来たら、馴染みのI氏が白馬、小谷村方面に行く途中だと言って立ち寄り、しばらくあれこれと話した後、蝶の観察と撮影に出掛ける彼を見送った。
 
 気になっていた第1牧区の電気牧柵も不良個所を直したことにより、最終的には9、200Vまで電圧が上がった。一昨日、東部支所の所長他3名が施設してくれたものだ。第3牧区はまだ通電の必要はないが、折角半分までやってもらったから、こちらも早急に何とかしなければいけない。
 その間に、キャンパー2名が到着し、また富士見パノラマのK氏とH氏が久しぶりに顔を見せてくれた。第3セクである富士見パノラマやそれをバックアップする富士見町の観光行政を、いつも牛の尻に隠れて羨ましく眺めていることをご存じで、だから今日のようにたまに訪ねてくれる。そして、牛守の愚にもつかぬ独り言に付き合ってくれるわけだが、あちらが大型トラックターでたちまち広大な田を耕せば、こっちはよくても牛でいくしかないような違いと、腑甲斐無さを感じてしまう。嗚呼。
 昨夜は霜が降りたらしく入笠山や権兵衛山の山腹は白くなっていたが、今夜も寒そうだ。キャンパーは若い二人だから大丈夫だろう。それにSさんは、寝袋を2枚持ってきたと話していた。
 「絶対に満足するから」と言った手前、夕方牧場の一部を案内したら、二人ともいたく感動してくれた。

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'’16年「春」 (50)

2016年04月28日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


   今日は雨、しかしこの程度なら苦にはならない。上に来る途中、いつもの堰堤のそばの桜枝垂桜があまりに見事で、つい車を降りて何枚か写真を撮ってみた。しかし、こだわるわけでもないが、ここの豪勢な桜を1枚の写真で伝えるのは至難だ。それほど盛大でもある。
 オオダオ(芝平峠)を過ぎて曲がりくねった道を来ると、右手の落葉松林の中に指標木としている山桜があるが、その桜の花がわずかだが咲き始めた。連休の間には牧場内の山桜も咲き出すかも知れない。



 ウッカリしていたが、明日から連休が始まる。そのことを今日、キャンプの予約をブログのコメント欄で受けて気が付いた。カレンダーを見て、4月29日は昭和天皇の誕生日であったことを思い出し、そして現在は祭日「昭和の日」となっていることを確認した。何となく、連休の始まるのは今週末の土曜日からだと勘違いしていた。

 それでも、「5月の山」と聞けばいまでも心が騒ぐ。しかし、どこか特定の山の情景が思い浮かんだり、懐かしく思ったりするというわけではない。と言うか、具体的な山を思い返そうとすれば、思い出す山はいくらでもある。しかし、むしろ心の中で思い描いていた風景とか、音楽や本や写真も一緒になって、姿かたちもよく分からない抽象画のような「5月の山」が、誘い、或いは蠱惑すると言ったほうがよいかも知れない。
 こうして山の中にいても、あのころの山は、それだけ遠くへ行ってしまったということだろう。

 伊那側から入笠山域へ来る場合、オオダオ(芝平峠)を過ぎて3キロ少々走ると、左手に未舗装の山道が見えてきます。その三叉路の右手にある道路標識が、入笠へは、その左の山道をへ行くように指示しています。しかし、この道は大変に荒れていて通行には適しません。そのまま左折せず、「長谷」方面に進み、牧場経由で目的地に向かうようにお勧めします。
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       ’16年「春」 (49)

2016年04月27日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 正式に仕事を始める前、4月の10日ごろだったか、そのときは水が管理棟のすぐそばまで来ていたのを確認している。ところが仕事を始め、まず最初にやらなければならない水回りの点検をしようとしたら、肝心の水が出ない。そういう状態が、実は今日まで続いていた。
 その間、原因究明のために取水場、貯水タンク、1キロ以上になる本管、これらの場所と区間を何度行ったり来たりしたことか。もう水の出ない不便をああだこうだと書かないが、来客もあったりするから何よりも食器洗いには苦労した。山の中での暮らしでは普段忘れていたことを思い出させ、季節だけではなく、時代までも逆行させられた。
 断水の原因は本管二か所の亀裂だったが、とにもかくにも連休前にはと気を揉んでいたので、やっと安堵した。

 JA東部支所の職員が農業実習ということで、昨日は所長が女性1名を含む3名を引率し、今日はやはり女性1名に男性2名がやってきた。事前の打ち合わせ通り電気牧柵の施設をお願いしたが、これと重なるようにして昨日は映画のロケハンがあり、今日は待っていた水道工事の立ち合いが加わり、忙しい思いをした。
 入笠を実習の場所に選んでくれたのは、JAの職員がこの牧場や周囲の自然に対し、少しでも愛着を持つようにとの所長の配慮であったと理解している。牧場からの眺望に、彼ら彼女らは大いに感動し、喜んでくれた。また映画については、相当大きな企画であること以外、実現するかどうかも含めてまだ何も分からない。当初の予定ではロケ地は熊本県だったようだが、地震のために急きょ変更された由、こんなところにまであの巨大地震は影響を及ぼしたらしい。

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       ’16年「春」 (48) 

2016年04月25日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 芝平の谷はまた一歩春が進んだ。まだくすんだ茶とも赤褐色とも言えなかった地味な森や林も、いつの間にか萌黄色の鮮やかな色が加わり、色彩が一段と多様化し、複雑化してきた。落葉松の葉の色は、一年中で最もみずみずしく、加えてハナモモや枝垂桜、それにツツジは所を得て、暗い谷間でも、日の射す明るい丘でも、派手やかな色彩を見せつついい役割を演じてくれている。
  多色刷りの印刷の場合、基本は色の三原色、黄、赤、藍、これらに墨を加えて刷る。それぞれの色を順に重ねていくにしたがい、次第に画像がはっきりとしてきて、最後に墨を刷り終えれば、美しい印刷画像が完成する。最後の墨は陰影の強調のために使われるが、三原色でほぼ画像は完成と言ってもいいくらいだ。
 いま芝平の谷は、まさにそんなふうな譬えをしたくなるような段階で、こちらはとても三原色では表現できない多彩な色が、幾日もいくにちも、何回となく塗り重ねられるようにして、少しづつ春の風景を完成させつつあるように見える。そしてそれはこの谷に留まることなく、日を追って同じことが、これから上に向かって繰り返されていく。
 日本の伝統色は450色ではすまないらしいが、それらの色の多くが、こうした美しくて繊細な自然の営みの中から生まれてきたのに違いない。

 まだ連休の予約、間に合います。山小屋「農協ハウス」とキャンプ場の営業に関しましては、カテゴリー別の「H28年度の営業案内」をご覧ください。
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