入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

    ’16年「夏」 (72)

2016年07月31日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など
Photo by かんと氏(再録)

  
 ようやく夏空が現れた。昨夜、寝る前に、「それでも」と思って外に出た。すると意外や意外、雲は消えて、いつの間にか星々が夜空に光の粒となって、あるところは濃密に、またあるところは大きな闇に散らばるかのように輝き、煌めいていた。その中でも、われわれの銀河である壮大な天の川が、広い深い夜空を、無数の光の帯で二分していた。
 
 ところが、愚かと言うしかないのは、正しくこういうことだろう。天体望遠鏡を持ち出し、少なくも環の付いたあの惑星ぐらいは見たと、当然ここで報告すべきだし、またそうしたかった。
 が、やんぬるかな、夕方パラついた雨に慌てて赤道儀を小屋の中に入れようとして、三脚を短縮してるうちに倒してしまった。結果、赤道儀に鏡筒を据え付ける大事なネジは1本は折れ、1本は曲がってしまい・・・、無惨な結果をこれ以上綴るのは苦しい。
 こういうことを、何となく予測していた。細かいことを正確にすることは、洞穴の住人が時計の修理でもさせられるようなもので、全く不向きこの上ない。生まれ落ちてからずっとある多くの欠陥のひとつである。

 ところが、拾う神が現れた。今日のキャンパーはいきなり「一昨日ブログに乗っていた望遠鏡は、タカハシの10センチですよね」ときた。で、「実は」と事情を話すと、いや詳しい、くわしい。それだけこっちが知らないということでもあるのだが、神はついにかんと氏とも交信してくれ、一応何とか今夜全面解決ではないが、夜空のお星さまを見ることだけはできそうになった。安堵、嗚呼。

 今日で7月も終わる。静かな夕暮れにいい風が吹いている。
 福島区の区長からは懇篤なるコメントを頂いた。また是非お出掛け下さい。8月はシャングリラにお出掛けのMさん夫妻、いい旅をしてきてください。こちらは虫ピンに留められた昆虫のようなもので、ここから動くことができません。

 山小屋「農協ハウス」とキャンプ場の営業に関しましてはカテゴリー別の「H28年度の営業案内」をご覧ください。
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    ’16年「夏」 (71)

2016年07月30日 | H28年度の営業案内」


 今夕、下から11名様お越し。我が福島村の村役衆の暑気払いが「時代遅れ(=農協ハウス」で開催される。今は伊那はもちろん市で、かつての村は区になっている。従って正確には、「区議会議員ご一行」と書かなければいけない。
 このごろ、この牧場のキャンプ場や宿泊施設について勝手なことを書いているが、やはり地元の人々に愛され、大切して欲しいと以前からずっと考えてきた。こちらから特に営業活動などしたわけではないが、わが福島(ふくじま)がその先鞭をつけてくれた。牧場管理人の立場でしかないが、有難いことだと心から感謝している。
 もっとも2,30年前は、ここもいろいろな地元の青年男女の活動で賑わい、あまたの楽しい思い出や嬉しいことが生まれただろうし、また消えていったこともあったに違いない。時代の流れの中でいつの間にか地元の人々の記憶から、入笠は次第に消えていってしまったような気がする。やはり、語り継がなければいけないだろう、次の世代へ。

 区議会議員様ご一行は皆喜んで帰っていった。「入ってみなければこの良さは分からない」と区長の弁、露天風呂の感想。本当にその通りだ。特に桧木の香りは入浴者には好評だった。料理もボリューム満点で、満足していただいた。
 祭りは終わった。皆を送って、今夜も入笠泊まり。

 先日の伊那市の広報活動の一環、白鳥市長が出演する「たき火通信」に、入笠山及び牧場が選ばれ、取材の様子はこのブログでも触れた。その放送予定について秘書課のUさんから丁寧な連絡を頂いた。視聴可能な各位は、伊那ケーブルテレビ及び伊那有線放送で放送されるので是非、番組予定を調べて、白鳥市長の紹介してくれる入笠にご注目いただきたい。

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    ’16年「夏」 (70)

2016年07月29日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など



 梅雨明け宣言が甲信越にも出たらしい。梅雨前線は日本海を北上したが、太平洋に熱帯低気圧があって、その影響で天気は相変わらずはっきりとしないようだ。それにしても予報のころころと変わること。
 「天気予報には大変な金と人をかけていますが、この時期のみならず天気の予測は大変に難しく、また状況の変化も激しく、残念ながら当たらないこともよくあります。過去の膨大なデーターなどと比較検討、分析の上で必死になって予測をしてますが、曇るのか、晴れるのか、雨になるのか・・・、ですから恐縮ですが、どうか天気予報などにはあまり頼らないようにお願いします」などと、予報の前に気象予報士が言ったら、言うわけないが、面白い。
 
 昨日は午後になって晴れてきて、これはと期待して望遠鏡を持ち出した。夜の訪れを待つまではよかったが、いよいよとなってオタオタしているうちに意地の悪い雲が出てきて、結局また「ウムー」で終わってしまった。
 日誌を見返してみたら、望遠鏡が届いたのが7月の9日。以来一度だけ、ヘンシュウチョウの助けを借りてだれもが見たがるあの惑星を見るだけは見た。が年齢だから、最高倍率にする段階で酔っぱらってよろけ、三脚に触れ、惑星は視界から消えてしまった。再度面倒なことを繰り返すのが嫌で、諦めた。天体観測には、なにより根気、ねばりが必要なことを遅ればせながら学んだ。
 「峠の星を見る者」によれば、お客の中に「おじさん、木星に輪がない」と、黄色い声を発したお嬢さんもいたらしいが、かんとさん、こんな娘には負けません、ご安心を。
 それにしてもマイナス20度の極寒の夜、寒さと眠気と闘いながら、天に穴が開くかというくらいひたすら、ひたすら一点を凝視するあなたやTBI氏は、本当にエライ!



 「いいところだと知れば、人も資本もどんどん土足で入り込んできます」と、神足勝記の研究者O沢先生の弁。ホントに・・・、こんなブログも止めた方がいいのかも知れない。そう迷いつつ今日も、「山小屋「農協ハウス」とキャンプ場の営業に関しましては、カテゴリー別の『H28年度の営業案内」をご覧ください』、と一応。
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    ’16年「夏」 (69)

2016年07月28日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


  牛の声がする。向かいの第4牧区の森の中だが、二度三度となると気になる。牛はむやみやたらには吠えないものなのだ。今日も霧が深いが、古い電気牧柵の回収を兼ねて、牛の様子を見に小入笠まで直登することにした。
 最悪は事故か脱柵を考えるのだが、全頭異常なく、ついでに頭数の確認もやっておいた。これで俄然気持に余裕ができる。


   少し緊張気味のジャージー子

 確かに昨日今日の内外のニュースを見たり聞いたりしていると、人間はなかなか進歩しないものだというハンドウ先生のご宣託が甦る。逆方向に野生化の進む者が偉そうには言えないが、サイドブレーキのかかったボロ車で行先の見えない未来に向かっていくようで、そのうちエンコしてしまわないかと心配になる。
 それと比べて道具(ワザとこの言葉に拘った)の進歩は、これまた恐ろしい。これまでは、牛の頭数確認では牛の耳に付いている番号札を読み、それをいちいちメモしていったが、何ともネムタイことをしていたものだと痛感した。
 「ボイスメモ」という先進的かつ、若い人なら当然知っているだろうな的方法があって、これを使えば非情に早く、効率的に、しかも正確に頭数の確認ができるのだ。もし間違えたら、その旨訂正を吹き込んでおけば済む。あとで書き起こすために再生したら、実況中継でもしている気分になっていたのか、つい「です、ます」口調になってしまっていたのはお笑いだった。

 ウムー、それにしても気象予報も当たらないがこちらの野生的勘もイマイチで、梅雨サンは腰の立たないお婆さんのように居座りを決めて動こうとしない。3時ころからは降水確率は100%だったが、午後になって日が射してきた。クク。
 かんとさん、今夜初フライトできそうです。


 東部支所長、撮影は決定ですが例のサービス、今回はなくなりました。
 O沢さん、ここは大金をかけたりして、繁盛させてはいけないのです。深い山気を「味わう」場所ですから。TDS君、多謝。夏休みになったんだろうから風呂に入りにでも来たらどうかね。「北原新道」の草刈は終わったから乞安心。
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’16年「夏」 (68)

2016年07月27日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など



 青い空を見るのは、久し振りのことのような気がする。外に出てみたら、雨にに洗われた清朗な空が、思いのほか大きな範囲に広がっていた。天気予報は、昼ごろになってまた雨の予報だが、恐らくはずれるだろう。昨日も書いたが、梅雨はどうやら明ける!その方に賭けたい。
 
  昨夜も上に泊まって、東京FMでやっていた「ジェットストリーム」という古い、懐かしい番組をPCで聞いた。片翼とその遠くに暁光が待つ遙かな空から、ジェット機のエンジン音に混じって、コックピット内だろうか、英語の交信が入る。続いて、あの懐かしくも甘く切ない「ミスターロンリー」の曲がうねるように流れ出す。それからしばらく間をとって、名曲にかぶせるように城達也のお馴染みの朗読が始まる。「遠い地平線が消えて、深々と夜の闇に心を休める時・・・」。
 あのころは、時代の高揚があった。楽天的で明るく、分不相応な希望が持てた。その典型が海外雄飛の夢であり、空港は、飛行機は、スチュアーデスは何とも華やかで、別世界の存在に見えたりした。中でも「ナショナル・フラッグ・キャリアー」と呼ばれた日本航空は、行ったことのない遠い国を自由に往来する特権的で夢のような会社に思えた。そのJALが「ジェットストリーム」のスポンサーだった。
 その後に海外旅行が次第に一般化しても、狭い東京の中でもがきつつ、それほど海外に出る機会もなく時だけが過ぎていった。「年を取ったら故郷の谷間に帰り、羊を飼って平和に過ごすのだ」と言ったあの人は、「もし山で死ななかったら」という肝心の前提が崩れてしまい、ヒツジ飼いの夢はかなわなかった。
 目的も、その先の方途もないまま信州に帰り13年、牛守になって10年になる。確かにそれまでアッチへよろよろ、コッチヘよろよろ一貫した生き方などと無縁だったし、今後もそうやって終わる人生かも知れない。きっとそうだろう。
 それでも、この管理小屋の部屋の窓を通して見える変わらない風景、霧に巻かれる権兵衛山の姿には、倦むことはなくいけそうだ。他愛ないことだが、それだけでもいいと思っている。

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