入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

    ’16年「秋」 (57)

2016年10月31日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など

 Photo by Ume氏
 きょうで10月も終わる。この月もあまり天候には恵まれなかった。そのせいもあってか、10月のキャンプ場と小屋の売り上げは、今年度において初めて昨年度実績を下回った。
 10月は新月が2回あったが、星の狩人や旅人も天気に翻弄され、不満を残して帰っていった。ただ雨の日が多かった分、お蔭で秋はいつもの年よりも長引いているような気もする。来る途中で見ても木々は雨の降るたびに葉を散らしたが、むしろそれで森や林はスッキリとしたくらいで、決して秋らしい季節の雰囲気を損ねたわけではない。このブログのタイトルもそろそろ「初冬」にしようかと考えたが、朝の気温も10度前後で日が射せば気温はさらに上がり、暖かそうな日だまりに牧草の緑が映える。もう少し様子を見た方がいいと考え直した。

 きょうのUme氏の写真は、今月の中旬に撮影されたもの。この前後何日かは確かに気温が下がり、上に泊まった夜は寒くて何度も目が覚めた。それでもまだ日中は秋らしい暖かくて気持ちのよい陽気に溢れていたから、もっと季節が進んでから使わせてもらうつもりでいた。そうしないと、ブログの読者がここへ来ることを見合わせたりしないかと、切ない心配までしたのだ。
 それが今朝来てみれば、国有林と接する囲い罠の日陰の部分にはすっかり霜が降りていて、あの写真を使わせてもらうのに相応しい時が来たことを気付かされた。
 これからゆっくりと季節は冬に向かうのか、それともある日急に冬の到来となるのか、それはまだ分からない。今、昨年の日誌で調べてみたら、11月の26日に「昨夜降雪あり、初雪」とあった。そういえば、昨冬は雪の来るのが遅く、積雪もそれほどではなかった。ともかく、雪がチラつくのは例年なら大体11月の中旬だと思う。
 
 昨年は11月の来訪者はゼロで、12月はそれなりにあった。今年は11月、小屋の予約が結構ある。O沢さんの小黒川林道についての提言、有難く読みました。本当にあの美しい渓谷を騒々しいオフロードバイカーの独擅場にさせておいてはならないと、いつも強く思っています。

 【平成28年度冬季営業】
平成28年度冬季営業についてはこちらをクリックしてください。



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    H28年度 「冬季営業の案内」

2016年10月28日 | H28年度冬季営業の...


年末年始(12月30日から1月3日)の営業については、まだ決めかねております。希望者があれば、できるだけそれに沿えるようにしたいと考えています。ご希望、ご意見を寄せてください。
 年末年始の期間に営業した場合は、宿泊者人数は一人でも二人でも可能とします。料金は1名3000円/1泊、プラス薪炭料500円/泊となります。ただし、昨シーズンの冬季利用者については、料金を2500円に据え置いた上で、薪炭料は500円です。
 
 冬季営業(11月21日から3月31日)は、最低催行人数10名、5名以上の連泊も考慮いたします(人数についてはご相談を)。なお、10名以上は原則貸し切りといたします。料金は年末年始と同じです。
 なお、当山小屋は、食糧、飲み物の用意は一切ありません。ご苦労様ですが担ぎ上げてください。

 小屋は玄関、廊下、台所2か所、トイレおよび48畳の畳部屋があり、12畳づつに仕切ることも可能です。備品は大型ガスコンロ、同ガス釜、食器、寝具、冷蔵庫などで、自由に使用できます。ただし、後片付け、掃除は利用者に負担してい頂くため、自前の寝袋、使い捨ての食器などが便利でお勧めです。暖房は石油ストーブが大型1台、中型2台、小型2台あります。水道は冬季間は使用できないこともあるため、雪を融かすか持参を覚悟してください(緊急用として60リッターは確保)。






申し込み方法:年末年始の営業をする場合は(検討中)、申し込みは12月20日まで、予定人数の20名を越えた場合は(そんなことはまず
        ない)打ち切らせていただきます。
        その他の期間は利用予定日の最低でも10日前までに。10名以上は貸切となるため、早ければはやいほど有利です。
        「NPO法人みろく山の会」からはすでに今冬も予約をいただいてます。

 申し込み先:JA上伊那東部支所組合員課(直通TEL:0265-94-2473)、もしくは直接管理棟(0266-62-4122)まで。ただ
       し、昼もしくは夕方5時前後にお願いします。管理人の携帯でも結構です。

 近年スノーシューの人気が高まり、ゴンドラを利用して入笠に来る登山者が増加しています。しかし、もう少し足を伸ばして、是非とも伊那側の雪の森や林へ来てみることをお勧めします。静まりかえった白い森の中を好きなだけ歩き、時代遅れの山小屋でしっかりと酒を飲み、笑います。あとは寒さに耐えて凍れる星々の歌声に耳を澄ませば、空から感動が降ってくるでしょう。

 参考までに:1)入笠山頂-ヒルデエラ(大阿原)-テイ沢-高座岩-本家御所平-農協ハウス、2)農協ハウス-御所が池方面、3)牧場周回コー       ス、4)半対峠方面、5)小黒川林道-南沢-程久保山-ヒルデエラ(大阿原)-テイ沢-農協ハウス、6)法華道から牧場
        以上のコースはほんの参考ですが、カットすることも、加えることもできます。余裕を持つなら連泊をお勧めいたします。

 ご意見や質問をお受けします。よい企画があれば、それもコメント欄へお願いいたします。I川さん、「歩く中」さん、期待してます。京都のK来さんも。そしてもちろん、大勢の貴方や君にも。冬の入笠牧場およびその付近を知るには、他の年の同時期のブログを(特に2月)参照してください。
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    ’16年「秋」 (56)

2016年10月28日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


  秋は、きょうの写真のような渓の中にもある。しかし人は知らず、気付きもしない。昼少し前から降り出した雨で季節は進み、もう今年はこんな渓の眺めは見られなくなるかも知れない。過ぎていく季節への感謝と諦念。
 
 昨日、白岩岳山頂にあった石柱の文字「甲 午」を『「きのえ うまのこく」と読むのか』、と書いた。誰か教えてくれるかと期待していたら早速「赤字」が入った。
 子曰く『「きのえ うまのこく」という記述は時刻と勘違いをなさってるのではないかと。甲午のトシとは西暦1834年(天保5年)をさします。日本では甲乙丙丁戊~壬葵の十干(じっかん)10文字と子丑寅~戌亥の十二支12文字を組み合わせてできる60語を通し番号にしました』とご説明。汗顔。
 さすがに時刻とは思わなかったが、こうした文字を古い石柱などで時折目にしても、その意味については深く考えたこともなく、分からないままにしておいた。
 今朝もここへ上ってくる途中、石柱のことを考えながら見逃したかも知れないあれこれを思い、何故もっとしっかりと見ておかなかったかと悔いたばかりだった。大変に勉強になった。これでさらに路傍の石塔や石碑への理解、愛着が深まる。若師には以前にもお世話になった。その博学、鋭い目には感服、平身。11月2日にここの山小屋へJALNECご一行と同道される由、その際お礼申し上げたい。

 大沢山の牧場内にあるJAXの観測施設が工事を再開した。一昨日の26日水曜日、行ってみたらよく晴れた空の下、富士山がうっすらと初冠雪していた。早いのか遅いのか。
 
 富士見からの交通規制は11月6日まで、7日から11月一杯は規制がなくなります。冬季の営業についてはカテゴリー別の「27年冬季営業」を
参考にしてください。

 

 
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    ’16年「秋」 (55)

2016年10月27日 | 入笠周辺の山と谷


 稜線に出てから2時間半ばかりをかけ、12時45分、白岩岳の山頂にに到着した。この間、登山道とは言えないまでもクマ笹や、灌木の生い茂る稜線にはかすかな踏み跡が認められ、登行の全てを藪漕ぎと言っては当たらないだろう。標高差で260メートルばかり登る間には、小ピークが幾つかある。ややもするとそれらの山腹を巻きたくなるし、そういう踏み跡が誘惑するが、努めて稜線から離れずに進んだ方が間違いない。

 で、きょうの写真は白岩岳山頂で写した石柱である。「天保5年甲午八月五穀成就」は、「てんぽうごねん きのえ うまのこく はちがつ ごこくじょうじゅ」と読めばよいのか。天保(1830-1844)といえば大飢饉が続いた時代だ。百数十年も前、誰かがここまで登ってきて五穀の実りを祈願したのだ。
 飢饉に苦しむ村を代表して来たのか、一人の肩に背負われて来たたのか、複数の人によってか、はたまたどんなルートを登ってきたのかと次々に湧いてくる疑問を抱きつつ、当時の人々の思いが胸に沁み、伝わってきた。



 最後に、今回の登山コースの紹介、案内としてこれでは不十分であると承知している。しかし、多くのこのブログの読者にとっては退屈だろうと思うから、詳しいことについては今回も触れない。興味と体力、それと自信があれば是非、と言うだけにしておきたい。多分、大学のワンゲルあたりが試してみれば面白いと思う。問い合わせには喜んで応じたい。
 旧営林署作業小屋からの登山道と比較して、われわれ3人のこのルートの評価はおおむね一致している。悪くはない。いいルートも考えられた。ただ、深い谷の奥の道なき尾根を何百メートルも登らなければという点では、やはりここを登山コースとして紹介するには早計だろう。
 帰りは足を痛めた愛犬HALを背負って、旧営林署作業小屋へ下るコースを選んだ。どうも最近大勢の登山者が来たようで、その際に、標識布替わりにピンクの蛍光色のビニールテープを随分と括り付けて帰ったらしい。しかし、これもやり過ぎては目障り以上の何物でもない。

 山から帰ると風呂を沸かし、かつて亡妻がしてくれたようにビールを持っていって、ゆっくりと風呂の中で飲んだ。あのころと同じような満足感が、全身に拡がっていった。

 A山さん、O沢さん、コメントありがとうございました。今後もよろしく願います。
 

 
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    ’16年「秋」 (54)

2016年10月26日 | 入笠周辺の山と谷


 昨夜の雨で木々はまた大分葉を散らしたが、それでも秋はよく持ちこたえている。朝方まで雨だったようだが、芝平の谷を上るころにはすっかり晴れ上がり、気持ちの良い秋日和となった。

 さて昨日の続きになるが、白岩岳およびその周辺の山域は滅多に訪れる人もなく、南アルプスの静かな環境が守られている。ただそこへ至る登山道は、釜無山から踏み跡のはっきりとしないクマ笹の稜線を超えて行くか、昨日も述べたように小黒川林道の旧営林署作業小屋から尾根を急登するしかない。いずれも、あまり一般向きとは言えない。
 それで、もう少し違ったアプローチの方法がないかと、以前から持っていた案の一つを、種平小屋の高橋夫妻と一緒になって試してみようということになって、一昨日の山行となった。なお、高橋氏ともう1名N君とで、すでに先述のように一度この沢に入渓し、1千700メートル付近までは踏査済みとなっていた。

 コースタイム

  7:00 出発(小黒川徒渉)
  9:00 1千700メートル
 10:15 2千000メートル
 12:45 白岩岳山頂
 13:15 山頂出発
 15:30 営林署作業小屋跡着

 前回は、笹平沢が三方に分かれる1千600メートル地点で、真ん中の沢を地図に従ってさらに遡行し、途中から左に落ちてきている尾根の山腹に取り付いたが、今回はその沢に入らず尾根の正面を登ることにした。そして1千900メートルくらいまで登ってから右に斜上し、2千メートルの稜線上にある鞍部に出ようというのが大雑把な計画だった。
 急登する尾根では、獣道だか古い作業道だか分からない踏み跡がやたらと交錯してくるので、登路を尾根の主稜から外さないように注意し、あとはひたすらがむしゃらに高度を稼ぐことだけに専心した。2時間ほどの苦闘だった。
 秋の柔らかな日を浴びた稜線では、左右に開けた雄大な眺望が待っていた。まず千丈岳が姿を現し、次いで釜無川の支流が削った荒々しい沢のその上部に、鋸や堂々たる甲斐駒が目を引き、その奥に北岳がドッカリと構えるように山容を見せていた。さらに細い稜線の右手に目を転ずれば、中央アルプスや北アルプスが、遥か南から北方まで峰々を並べて続いていた。
 また鞍部からは、富士見へと下っていく道らしきが、クマ笹の生い茂る斜面に微かに見て取れた。こんな険しい山道を一体どういう人が歩いたのかと、いつのころとも思い当たらぬ時代の旅人のことが頭の中をよぎった。(つづく)

 富士見からの交通規制は11月6日まで、7日から11月一杯は規制がなくなります。冬季の営業についてはカテゴリー別の「27年冬季営業」を
参考にしてください。 
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