入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

     2015年を送る

2015年12月31日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


大晦日。入笠、現在(午後3時)の気温0度、曇り。
 ここに着いた昼、それから今までもずっと晴れていたが、それが急に怪しくなってきた。今にも雪でも降ってきそうな空模様だ。ドロドロのウイスキーを飲みながら、残り少なくなった今年を意識している。



 少し歩いてみた。冬枯れの野末の森の方まで。斑(まだら)に残る雪を避けて少し高い所まで登ると、夕暮れ前の北西の空にはまだ薄青い空が見え、霧ヶ峰には日が射していた。まだ下に移動しない鹿がいるようでその足跡ばかりでなく、近くの森からは例の甲高い警戒音も聞こえてくる。上空には気圧(けお)されるような厚く重い雲がさらに広がり、雪も舞ってきた。
 何か考えようとしてみても、思念がまとまらない。この牧場での1年が過ぎ、そして9年が過ぎた。短くも長く、長くも短い茫々とした時間が流れ、「あばよ」と言って去っていく自分の後ろ姿でも見るかのように、目の前の夕闇に消えていく風景にすべてをこめて、今年を見送りたい、感謝して、感謝して。

 今年1年、ブログを読んでいただき、また多数の懇篤なコメントも頂戴し、大変ありがとうございました。Ume氏を始めかんと氏、TBI氏、N氏、O氏他、貴重なPHを提供してくださった方々にも感謝申し上げます。来たる2016年が皆さまにとり良い年となりますよう念じながら、残された6時間ばかりの2015年をここ入笠牧場においてしみじみと味わい、独酌を続けたいと思います。

 三沢 拝

 

 
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     「冬」 (26)

2015年12月30日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


好天が続くが、スキー場は雪不足で大変だろう。越年登山で各地の山へ入る登山者には、どうだろうか。

  昨日は忙しい思いをしながら松本まで東宝の「オレンジ」という映画を観にいってきた。最終場面に、牧場の一画が使われたという縁だ。漫画の映画化だが、原作者は20代の女性だという。未来の自分から届いた手紙が、既定の人生の流れを変えて、別な未来(パラレル ワールド)を創造していくという筋書だが、構想はなかなか面白いと思った。
 コマーシャルの撮影もそうだが、わずかのカットのために数十人の人が関わり、長い時間をかけて撮影する様子を見てしまうと、映画を観ていてもつい、場面のすぐ手前でカメラが回り、監督の指示が飛び交う撮影現場を想像してしまう。そして、その苦労の方に気が持っていかれる。そういうことが、この久しぶりに観た映画では多かった。舞台は松本市が中心で、そのため市のバックアップがあったやに聞いている。それでも市街の雑踏の中や、運動会の場面は、特にその感を強くした。評判は悪くないと聞いた。制作に奔走したOさんも、安堵していることだろう。

 元旦から地区の新年会があり、その準備をしなければならない。越年で入笠にも上がるつもりでいるから、そっちのことも気になる。明日は入笠から年末年始の挨拶ができたらよいがと思っている。

 1月は、9,10,11日は上にいる予定です。人数にこだわらず予約を受けますのでお申し出ください。
 入笠牧場の宿泊施設及びキャンプ場の営業に関しましてはカテゴリー別の「H27年度冬季営業」を、また天体観測に関心のある方は「入笠牧場からの星空」をご覧ください。
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     「冬」 (25)

2015年12月29日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など
  

年の瀬ともなればやはりあれこれ考えてしまう。自然がどうした、牛がああしたなどと能天気なことばかりも言ってられない。それにしても、海外から入るニュースはとても、他所(よそ)の星の知性ある生命体に見せられるようなものではない。その中で、日韓の懸案の事項が、なんとか一応の解決をみたことは、両国にとって良かったことだろう。ただ、はたして遙かな星に住む異星人たちに「a sex slave]などという言葉が分かるだろうか。

 今日の写真は、まだまだ若かったころの思い出がいっぱい詰まった古い二重靴だ。今でも充分使用に耐えるが、難点は重いこと。軽量化を図るため、ビムラムの底はできるだけ薄くしてもらったが、それでもまだ出番を待ってくれているのか、それともこうして時々恩着せがましく自己主張しているのか、どちらにしても健在であることは、いい。

 年末、読者各位におかれてもさぞかし気ぜわしいことと拝察し、今日は思いっ切り短く・・・。巣鴨さん、了解しました。是非!。

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     「冬」 (24)

2015年12月28日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 天気の良くなかった22日に撮った写真のせいだが、寒々しい風景の写真ばかりが続いた。荷上げした水とビールのことが気になり昨日も山に上がったが、あいにく電池の余裕がなく、とりあえず1枚だけ撮ったのが今日の写真。現在の入笠の状況がお分かりいただけるだろうか。

 「僕らは貧しく、豊かではなかったが何となく今より倖せだった気がする」。本日の新聞の広告欄で見付けた、倉本聰氏の言葉だ。確かに、そういう気持ちがしないわけではない。何故か。文明の進歩と幸福は必ずしも同調しないのだ、ということだろう。
 その典型にまず思い付いたのがテレビ。しばらくは家中が、テレビから入る情報に沸いた。しかしやがてそれに慣れると、殺人も戦争さえも、日常の片隅の出来事になってしまった。そして団欒は、味わいを薄めただろう。

 あの時代から希薄になったもののひとつが、労(いた)わりではないか、という気がする。例えば父や母の、終日働く姿がいつも目の前にあった。肉体的な労苦に対して、労わりの感情が生まれ、連帯ができ、そしてそれが家族の幸福のうま味を醸成した、と思う。 
 薪で火を燃やし炊飯する、汚れた物を手で洗う、そういうことをわれわれの以前の世代は、当然のこととして遙かな昔からやってきた。そしてそれをずっと見てきた。「今より倖せだった」と思う記憶の中には、そんな情景も含まれているのではないだろうか。
 だからそのころの暮らしの中では、正月は特別な幾日かで、その数日間にしかできないことが、食べ物も含め、いっぱいあった。われわれは正月のために、欲望を抑えた。「お正月になったら」とよく言われたものだ。いや正月だけでなくその他の祭りや慶事を祝うことでも、幸福を共有した。その単位が家族だった。ささやかで貧しく、ホロ苦ささえ残る幸福だった。戦後間もないあのころ、都会よりも農村に、そういう「倖せ」が、より多くあったような気がする。

 南北のアメリカ大陸、そしてイギリスが、正月を目前にして異常気象のため大変なことになっている。日韓外相会談はどう決着するだろう。世界の混乱、不幸は続くというのに、ビールの心配などしてる年の暮れ。Nさん、コメントありがとうごさいました。またお願いします。歩く中さん、気を遣わせてすいません。年末年始以外では、1月8,9,10日は上にいます。

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     「冬」 (23)

2015年12月27日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


  年を取ればとるほど、時の経つのを早く感ずるものだが、さすがと言うべきか12月、師走はまっこと、また一段と早くなった気がする。

 そんなことを言いながら昨夜、思いがけず古い懐かしい白黒映画を観た。「ローマの休日」である。若く最も美しかった頃のオードリー・ヘップバーンが主演した名作で、当時世界中が沸いた。そう言っても大袈裟ではないだろう。内容はローマを舞台にした某国王女とアメリカの通信社で働く記者との短い恋愛譚で、以前に一度観たことがあったがそれでも面白かった。
 彼女の映画は、この他にも評判になったものが多数あったはずだが、これ以外には1本しか見てない。彼女の最晩年の映画で、森林火災と闘う消防士が主人公だったと記憶している。しかしもう、題名もなにも覚えていない。ただ、若かった頃の輝くような美貌をすっかり失せてしまったヘップバーンを見て、彼女でも年月に侵され、老いるのだと、何とも哀感のないまぜった残酷な安堵感のようなものを覚えた。
 それから少しして、彼女の訃報を聞いた。生前に用意してあったスイスの片田舎に葬られたらしいが、彼女の亡骸を自家用飛行機を使ってそこまでで運んだのは、「ローマの休日」で彼女の相手役をしたあのグレゴリー・ペックだった。実にいい話だと思ったものだが、それにしても彼女の華やかな生涯が、あまりに短く思えた。。
 「天人五衰」という言葉は、彼もまた自死を遂げてすでに45年も経ってしまったが、三島由紀夫の最後の作品「豊穣の海」から知った。たとえ天女であっても、五つの段階を経る中において老いを重ね、終えるのだ、というような意味だったと思う。
 この言葉で思い出したのが、ヘップバーンだった。今では彼女も冷たい土の中で、永遠の眠りについている。
 
 自分の一生と比べ、他の人の生涯のあまりの呆気なさを、こんなふうに人の死に接して時には感じたりするが、待てまて、自らにも当てはまることで、いつか誰かにそんなふうに見られ、感じられる時が来る、確実に。「牧場の管理人してた人、亡くなったんだってぇ」なんて、クク・・・クゥ。
 ムー、日本酒のことを話題にするつもりがつい、この時期にはあまりふさわしくないことを書いたかも分からない。

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