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昼を過ぎて、どうも報道で耳にし、見てきた天気予報とは違う空模様になりつつある。空は灰色雲に覆われ今にも雪が降り出しそうだ。風も出てきて、炬燵の中から見える柿の木もそのせいで激しく揺れている。頼りにしている雨量・雲量の予側でも、ここら辺りは入笠も含めて予報がかなり難しい、雪の可能性が濃厚である。
はっきりしていることは、例年に比べすでにどの山域も明らかに降雪量が多く、それは遠くから見ても分かる。前回に上へ行った時の印象でも、雪の量は半月以上も早いと感じた。
氷ノ山で遭難事故が発生し捜索隊が出動したと報じられている。5名中4名は救助されたが、1名は取り残されて消息が確認できていないらしい。詳しいことは分からないが、どうもその1名は車の中に避難しているという。
報道では彼らを「キャンパー」と呼んでいた。おそらく、一夜のドカ雪で、車で帰ることができなくなっているのではないだろうか。普通なら、4名のうち1名ぐらいは残された者に付き添うと思うが、その間の事情もまだ分からない。
似たような経験を入笠でもしたことがある。その時は単独で、夜になって降り出した雪が本格的になり、翌日まで待っては帰れなくなる恐れがあった。車は貴婦人の丘からは先には進めず、そこに停めておいたから、深夜ではあったが小屋から雪の中を1キロ以上歩いた。そして、雪に埋もれて判然としない轍を探るようにして車を走らせ、無事下山できた。あの時は、夜が明けるまで待っても雪は止まなかったはずだし、そうなれば最悪、車で帰ることを断念せざるを得なかっただろう。
何年か前に一冬の間、初の沢の大曲がりの先に乗用車が1台、放置されていたこともあった。無理してあそこまで上がってきて、そこからは勾配がきつくなり動けなくなったのだろう。
また別の冬、GPSの指示するままに雪道を強行し、焼き合わせの先の曲がりで進退不能に陥った車と出会ったこともある。あの雪の中、戸台へ行くつもりだったと言うから驚いた、呆れた。そのまま進むことは明らかに無理だったが、できたとしても、小黒川林道は雪崩の巣になっている。そこで立ち往生したのがむしろ幸いだったと言いながら手を貸した。季節を考慮せずに、山道で安易に車内の道案内GPSに頼るのは危険である。
やはり冬、愛犬キクが消息を絶った時は、山室川の第2堰堤から歩いた。それも夕方から夜を選んで行ったが、思いがけず11㌔少々を6時間近くもかけてしまった。雪道は本当に分からない。最初から歩く覚悟ができていればよいが、そうでなければ車を捨てる判断が難しい。その覚悟を試すかのように雪が舞っている。
番長さま、裏番長さま、了解しました。今年はその方が賢明でしょう。きょうのすっきりしない写真は、この独り言で名高い「ド日陰の大曲がり」、本日はこの辺で。